タクシー運転手を目指す人はその仕事内容や仕事の流れに興味があると思います
この記事では現役のタクシー乗務員である私(昼勤務)の出勤から帰社までの流れを解説します。
夜勤務や隔日勤務の運転手さんたちの時間帯は異なりますが、仕事内容や流れは基本的に同じです。
この記事を読むとタクシー運転手の一日の仕事の流れがわかりますよ。
出勤から車両点検まで
タクシー乗務員は国家資格を有する運行管理者または補助者が行う業務前点呼を受けなければなりません。
まずは点呼
私の出勤時間は朝9時と決まっており、会社に到着するとすぐに始まるのがアルコールチェックと体温チェックです。
また「今日の体調はどうですか?」と質問されます。
次に、運行管理者である内勤の人に乗務員証と運転免許証を提示し確認してもらいます。
また、内勤の人からはその日の注意事項を聞きます。
事故が発生していた場合などは事故の詳細を聞かされたりします。
車両点検
上の写真は私が使っている「運行前車両点検報告書」です。
自分が乗る車の号車の点検報告書を持参してエンジンオイル、ブレーキオイル、ラジエター水、バッテリー液などをチェックし、同時にライトなどの機能が正常かどうかをチェックします。
また、車のボディーに新たな傷や凹みなどがないかもチェックします。
一通りの点検が終わったら、車両点検報告書は運行管理者である内勤の人に提出します。
車両点検から出庫準備まで
車両点検の後は洗車をします。
洗車
車内清掃(簡単な拭き掃除)を行い、上の写真にあるようなマット洗浄機にマットを通します。
車体は大型の業務用洗車機で洗車することもあれば、雑巾で拭き上げることもあります。
出庫準備
乗務員カードを使って出庫時刻と前日までの走行距離を記録し、ナビゲーションシステムに乗務員番号を入力。
これで無線室は私の出庫準備完了を確認します。
いよいよ出庫です。
会社から出る直前は必ず運行管理者あるいは補助者から行灯(あんどん)=天井灯、前照灯(フロントライト)、ハイビーム、尾灯(バックライト)などのチェックを受けます。
すべてのライトがOKとなって出発となりますが、ここまでの作業で約30分掛かります。
営業開始から終了まで
タクシーの営業形態は大きく三つに分かれます。
【流し営業】 道路を流しながら営業を行う方法です。人通りが多い繁華街や駅前など、目視で客を捕らえやすい場所で有効です。街中の流し営業に慣れれば最も効率よく実車営業を実現できます。
【配車営業】 無線による配車指示を受けて営業する方法です。コールセンター(無線室)からの客の要請に基づき無線で配車が要請されます。配車場所までの時間が掛かり過ぎることもあります。
【付け待ち営業】 ホテルや駅や空港など特定の拠点で客を待つ方法です。客の多い場所なので空車待ちが少ない場合はいいですが、時間帯によっては順番が来るまでに長い時間が掛かることもあります。
違いをまとめた表は以下の通りです。
営業形態 | 概要 | 特徴 | 長所 | 短所 |
---|---|---|---|---|
流し営業 | 道路を流しながら営業 | 目視で客を見つけやすい | 人通りの多い場所で有効 | 渋滞や合流の危険性 |
配車営業 | 無線による配車指示を受ける | コールセンター経由で効率的 | 待ち時間が少ない | 発車時の位置取りが重要 |
付け待ち営業 | 特定の拠点で客を待つ | 客の多い場所なので空車待ち少ない | 移動の無駄が少ない | 拠点までの移動時間がロス |
このように、それぞれの営業形態には長所短所があり、地域や時間帯、状況に応じて使い分ける必要があります。効果的な組み合わせで営業を行うのがポイントとなります。
*貸し切り営業:これは福岡市で五年間ほどタクシー運転手をやっている私も数例ほどしか経験していませんが、あらかじめ決められた運賃でタクシーを一定時間または一定距離専用に利用できるサービスのことです。
上の写真はある日の貸し切り営業の記念写真ですが、この日の貸し切り営業はフィリピン人女性からの要請。
福岡県粕屋郡篠栗町にある涅槃像を観に行きたいとのことで、涅槃像がある南蔵院の中をエスコートしながら福岡市と篠栗町を往復で¥17,000ほどの運収でした。
入庫から精算処理まで
いずれにしろ、こうしたタクシー営業をやって会社に戻ってくるわけですが、戻るとすぐに車両を営業所に無事帰還させる入庫処理が始まります。
具体的な手順は以下の通りです。
1)車載機からの運賃・料金の集計
- 現金運賃の合計
- クレジットカード決済額
- 交通系ICカード決済額
- その他電子マネー決済額
- 空車時間などの減収分
2)運賃・料金の確認
- 車載機の記録と自身のメモした金額を照合
- 過不足がないか確認
3)運送収入の計算
- 総売上から会社への納付金(歩合)を差し引いた額が運送収入
4)現金の精算
- 売上現金と運送収入の現金部分を照合
5)報告書の作成
- 運送収入、納付金額、売上内訳などをまとめた報告書を作成
6)現金・報告書の提出
- 会社に現金と報告書を提出し、清算処理を完了
この清算処理を通じて、運転手自身の売上確認と会社への売上報告が適切に行われます。自動精算システムが導入されている会社もありますが、基本的な流れはこの通りです。売上金の正確な管理が重要となります。
この一連の流れが終わると帰宅となりますが、会社を出る前にはもう一度アルコールチェックと体温チェックがあります。
まとめ
タクシー運転手の一日はタクシー会社によって多少の違いはありますが、基本的にはこの記事で紹介している私(福岡市の現役タクシー乗務員)の仕事の流れと基本的に同じ流れとなります。
タクシー運転手の仕事に頻繁に使われる用語は以下のとおり。
・点呼
・出庫、入庫
・車両点検、洗車
・流し営業、配車営業、付け待ち営業、貸し切り営業