タクシー運転手を目指す人はなるだけ良いタクシー会社に就職したいと願っているでしょう。
以下の記事では、良いタクシー会社と悪いタクシー会社の経営姿勢、給与制度、労働環境、福利厚生について表にまとめています。
また、それぞれの項目でタクシー運転手を目指す人に参考になるような私の個人的な体験(以前勤めていたタクシー会社と現在勤めているタクシー会社の違い)を述べています。
良いタクシー会社と悪いタクシー会社の経営姿勢の違い
良いタクシー会社は、健全経営を基本とし、コンプライアンス重視、技術革新への意識、地域貢献など様々な面で先進的な姿勢を持っています。
一方、悪いタクシー会社は経営の視点が短期的で、コスト削減のみを重視する傾向があります。
経営者の姿勢の違いが、会社の将来性や従業員の働きやすさなどに大きく影響しています。
項目 | 良いタクシー会社 | 悪いタクシー会社 |
---|---|---|
財務体質 | 長期的に黒字経営を続け、財務体質が健全 | 経営が不安定で、債務超過の状態 |
経営計画 | 中長期の経営ビジョンと計画がしっかりしている | 手づくね経営で先が読めない |
無駄の排除 | 効率的な経営を心がけ、無駄をなくすよう努力 | コスト削減を徹底し過ぎて、サービス低下 |
労使関係 | 労使協議会などで労働者の意見を反映 | 経営者の一方的な意思決定が多い |
コンプライアンス | 法令遵守を徹底し、内部統制体制が確立 | 法令違反や不正行為がある |
運転手教育 | 安全運転や接客教育に力を入れている | 教育が手薄で、ミスが多発しがち |
地域貢献 | 地域に根差した企業として社会貢献に努める | 地域への配慮が希薄 |
技術革新 | AIやIoTなど新技術の導入に積極的 | 新技術導入が遅れがち |
人材育成 | 優秀な人材の確保と育成に注力 | 人材育成への関心が希薄 |
私の体験
以前勤めていたタクシー会社では売り上げが下がるとをうるさく言われたり、その言い方が高圧的でした。
運転手さんの入れ替わりが激しかったのを覚えています。
現在勤めているタクシー会社では売り上げが下がっても相談に乗ってくれるという態度で、運転手さんのモチベーションが下がることはないようです。
結果、現在の会社では辞めていく運転手さんは少ない。
現場の運転手さんを金儲けの駒としか見なしていない会社と運転手さんあればこそのタクシー会社と考えている会社の違いを経験しました。
良いタクシー会社と悪いタクシー会社の給与制度の違い
良いタクシー会社の給与制度は、基本給+インセンティブで高い営業実績を適正に評価し、最低収入も一定額保証するなど、バランスが取れた構造になっています。
一方、悪いタクシー会社はどの面でも運転手に不利な制度となっており、給与水準も低く抑えられがちです。
運転手が公平に評価され、しっかりとインセンティブを得られる制度があるかどうかが大きな違いとなります。
項目 | 良いタクシー会社 | 悪いタクシー会社 |
---|---|---|
基本給 | 一定額の基本給が保証されている | 基本給がない、または極端に低い |
歩合給率 | 45~60%程度の適正な歩合率 | 40%以下の低い歩合率 |
足切り制度 | 足切り制度がない、または控えめ | 過度に厳しい足切り基準 |
ボーナス | 実績に応じた適正なボーナス支給 | ボーナスが一切無い、または低額 |
最低保証額 | 最低収入を一定額保証 | 最低保証がない |
諸手当 | 深夜手当、家族手当など各種手当あり | 手当がほとんどない |
給与インセンティブ | 高い営業実績で高収入可能 | 頑張っても報われない |
算定方法 | 給与計算ルールが透明化されている | 不透明で納得性に欠ける |
私の体験
以前の会社は月給にもボーナスにも足切りありで歩合給のみで基本給がありませんでした。
※参考記事:タクシー運転手の給料収入と足切り及び公出について現役乗務員が解説
もちろん、残業手当や給与の最低保証もありませんでした。
現在の会社では、私は年齢的に正社員は不可能で嘱託という身分ですが、給与待遇は正社員と変わりありません。
ボーナス制度はありませんが、基本給プラス歩合給で運収の約60%が収入です。
残業手当もあれば売り上げが悪い時も最低保証があります。
良いタクシー会社と悪いタクシー会社の労働環境の違い
良いタクシー会社は、車両の入れ替えや施設の充実、適正な労働時間管理、健康と安全対策など、運転手が働きやすい環境づくりに注力しています。
一方、悪いタクシー会社は、コスト削減を優先し、労働環境の改善が後手に回る傾向があります。
運転手の健康と安全が何より重視されているかどうかが、大きな違いとなっています。
項目 | 良いタクシー会社 | 悪いタクシー会社 |
---|---|---|
車両の状態 | 計画的に車両を入れ替え、新しい車両が多い | 古い車両が多く、メンテナンスが不十分 |
勤務シフト | 無理のない適切なシフト編成 | 長時間労働や連続勤務が多い |
高齢運転手 | 定年年齢が比較的若く、高齢者が少ない | 高齢運転手が多い |
休憩室・更衣室 | 広く快適な専用の施設がある | 施設が手狭で設備が貧弱 |
健康管理 | 定期健診や講習会など手厚い | 健康管理体制が不十分 |
安全対策 | 安全運転支援システムの導入など対策が充実 | 古い車両が多く安全面で不安 |
トイレ環境 | 営業所にきれいなトイレがある | トイレ設備が不十分 |
騒音・振動 | 最新車両で静粛性が高い | 古い車両で騒音・振動が大きい |
私の体験
以前の会社では毎年の定期健診はあったものの運転に関する適性診断検査はありませんでした。
現在の会社では毎年の定期健診はもちろん2年に一度「独立行政法人自動車事故対策機構」で行われる下図のような運転適性診断を受けることが義務付けられています。
今回の診断結果で嬉しかったのは、「安全態度」と「動作の正確さ」は前回と同じ点数でしたが、「判断・動作のタイミング」「危険感受性」「注意の配分」では前回を上回る点数を頂いたことです。
やはり、安心して無理のない仕事をさせてくれる現在の会社にいるお陰かなと感じています。
良いタクシー会社と悪いタクシー会社の福利厚生の違い
良いタクシー会社は、従業員の生活をトータルでサポートする施策が行き届いています。
法定を上回る手厚い制度を用意することで、従業員の生活の質を高め、長期勤続を促す狙いがあります。
一方、悪いタクシー会社は福利厚生制度が貧弱で、従業員に対する配慮が欠けがちです。
会社の経営方針の違いが、このような福利厚生の格差につながっています。
項目 | 良いタクシー会社 | 悪いタクシー会社 |
---|---|---|
社会保険 | 全ての社会保険に加入、保険料の会社負担割合が高い | 一部の社会保険に未加入、保険料の従業員負担が重い |
有給休暇 | 法定を上回る年次有給休暇日数、夏期休暇など特別休暇あり | 有給休暇が法定通りか、それ以下 |
退職金 | 勤続年数に応じた手厚い退職金制度 | 退職金制度がない、または極端に少額 |
手当 | 住宅手当、家族手当、育児手当など各種手当あり | 手当がほとんどない |
生活支援 | 持株会、財形貯蓄制度、生命保険補助など | 生活支援制度が乏しい |
資格支援 | 資格取得費用の全額または一部補助 | 資格取得への支援なし |
健康管理 | 定期健診、レクリエーション施設の補助など | 健診以外の健康管理が不十分 |
福利施設 | 社員寮、保養所、従業員食堂などの施設あり | 福利施設がない |
私の体験
以前の会社では有給休暇に関する説明はまったくなく、他の運転手さんたちが有給休暇を取っているなどという話も聞いたことがありません。
現在の会社では入社初期に有給休暇やシフト変更に関する説明もあり、有給休暇は自由に取らせてもらっています。シフト変更もほぼ希望どおりにできています。
また、現在の会社は湯布院の保養施設に温泉付き別荘をもっており、希望日に空いていれば家族と一緒に自由に別荘を使えます。
上の写真はその別荘の風呂場(天然温泉)ですが、ここに浸かった時は本当にいいタクシー会社に就職できたと感じました。
まとめ
- 良いタクシー会社と悪いタクシー会社の違いは主に経営姿勢、給与制度、労働環境、福利厚生の4つの側面に現れる。
- 経営姿勢では、現場の運転手さんを金儲けの駒としか見なしていない会社か運転手さんあればこそのタクシー会社と考えているかが違う。
- 給与制度では、基本給、歩合率、足切り、ボーナス、最低保証額、手当などで労働対価に大きな開きがある。
- 労働環境では、車両の入れ替え、シフト編成、高齢運転手対策、施設設備、健康管理、安全対策に違いがある。
- 福利厚生では、社会保険、休暇、退職金、各種手当、生活支援制度、資格支援、健康管理、福利施設に大きな格差がある。
- 経営者の姿勢や方針の違いが、給与、労働環境、福利厚生の格差を生んでいる。