【プロの義務】タクシーの「3ヶ月点検・メーター検査」全解説。売上と安全を守る整備戦略

プロタクシードライバーが解説する「法定三か月点検とメーター検査」 タクシー乗務の現場で役立つ実務集

こんにちは、現役ドライバー歴7年、70歳のヤヌスです。

タクシードライバーにとって、車両は文字通り「商売道具」であり、整備と点検は売上と安全に直結するプロの義務です。自家用車とは異なり、タクシーには「法定3ヶ月点検」「メーター検査(装置検査)」という、より厳格な検査が義務付けられています。

これらの検査を単なる「会社の仕事」と捉える新人ドライバーは少なくありませんが、この意識では突発的な故障や営業機会の損失を招きます。プロは、点検を「自分の売上を守り、事故リスクを排除する機会」として活用します。

この記事では、タクシーに課せられた2つの重要検査の基礎知識と、新人ドライバーが必ず整備担当者に依頼すべき「現場の盲点」を徹底解説します。車両トラブルによる営業ストップを防ぎ、安定して稼ぎ続けるための知識を身につけましょう。

この記事でわかること(売上を守る整備の知識):

  • 一般車より厳しい「法定3ヶ月点検」の目的と費用
  • ・メーター検査を受けないとどうなるか?(計量法の基礎)
  • 新人ドライバーが見落としがちなバッテリー寿命点検の盲点
  • 毎日の「出庫前点検」でチェックすべきプロの視点

1. 法定検査の基礎知識:「3ヶ月点検」と「メーター検査」

タクシーの運行に必要な、義務付けられた2つの検査を理解します。

1-1. 法定3ヶ月点検:運送事業者の義務

道路運送車両法に基づき、タクシー(事業用自動車)には3ヶ月ごとに法定点検が義務付けられています。自家用車の12ヶ月点検よりはるかに頻繁です。

  • 点検項目:ブレーキ、エンジン、タイヤ、サスペンション、灯火類など、約60項目に及びます。特にブレーキ系統動力伝達装置など、過酷な走行に耐える必要がある部分が厳しくチェックされます。
  • 目的:お客様を乗せる車両の安全性を高水準で維持し、公共交通機関としての信頼を守ること。点検を怠ると、会社が行政処分を受けるリスクがあります。
  • ドライバーの関わり:点検項目以外に「最近感じた異音や違和感」を整備士に伝えることで、早期の故障発見に繋がります。

1-2. メーター検査(装置検査):料金の公平性を保証

タクシーメーターは「計量法」に基づき、1年ごとに国土交通大臣が指定した機関で検査を受けなければなりません。

  • 検査の仕組み:専用のローラー式基準器の上で車両を走行させ、表示された運賃に対して正しい走行距離を計測しているかを確認します。FF(前輪駆動車)の場合は一定の道路を走行することで検査されます。料金の過不足は許容範囲が厳しく定められています。
  • 装置検査証印:合格すると、メーターの封印玉に「装置検査証印及び有効期間満了の年月」がパンチされ、ダッシュボードに有効期限のステッカーが貼られます。
  • 注意点:この検査に合格していないと営業停止となり、ドライバーは乗務できません。有効期限の確認はドライバーの義務ですが、一般的には内勤の運行管理者による指示指導があります。

2. 整備点検を「自分の売上」に繋げるプロの視点

点検を能動的に活用することで、突発的な営業停止や大きな修理を防げます。

2-1. 3ヶ月点検で依頼すべき「隠れた最重要項目」⚠️

ヤヌスが特に重要だと考えるのが、バッテリーの寿命点検です。

  • 現場の盲点:一般的な3ヶ月点検の項目には含まれていても、他の重要項目に紛れて、「まだ大丈夫だろう」と整備士もドライバーもスルーしがちです。
  • 突然死のリスク:タクシーはアイドリングストップや、カーナビ、無線などの電力消費が激しいため、バッテリーの消耗が早いです。突然路上でエンジンがかからなくなると、その日の売上は消滅し、会社の信用も失います。
  • プロの行動:新人ドライバーは必ず、「特にバッテリーの寿命チェックをお願いします」と、整備担当者に口頭で依頼し、電圧や劣化具合を具体的に確認してもらう習慣をつけましょう。

2-2. 毎日の「出庫前点検」でチェックすべきプロの視点

法令で義務付けられている日常点検を、単なるルーティンで終わらせてはいけません。

  1. タイヤの空気圧:燃費と乗り心地に直結します。空気圧が低いと燃費が悪化し、売上を圧迫します。
  2. 灯火類:ヘッドライト、テールランプ、ブレーキランプ、そして空車表示灯が正常に点灯するか確認。空車表示灯が切れていると、乗車機会を逃し、そのまま営業ストップの原因にもなります。ただ、出庫前に運行管理者によるチェックがあるのが普通です。
  3. 異音・異臭:運転中に聞こえた普段と違う音(ブレーキのキー音、エンジンのガラガラ音)や、焦げ臭いにおいは、点検記録簿に必ずメモし、整備担当者に伝えます。

3. 整備不良が引き起こす「営業停止」リスク

整備不良は、事故だけでなく、ドライバーの収入にも致命的な影響を与えます。

3-1. 故障による「無駄な空車時間」

突然の故障で営業所に帰庫したり、ロードサービスを待ったりする時間は、すべて空車時間(売上ゼロ)となります。

  • 損失の試算:故障による3時間の待機は、数万円の売上機会損失に直結します。法定点検を疎かにするコストは、非常に高いのです。

3-2. 事故時の「過失責任」と点検記録

万が一事故を起こした場合、「整備不良」が原因と判断されると、ドライバーと会社の過失責任が重くなります。

  • 記録の重要性:日々の出庫前点検や、3ヶ月点検の記録は、事故時の「運行管理が適切に行われていた」という重要な証拠になります。記録を正確に残すことも、プロの責務です。

出庫前点検チェックリスト

タイヤの空気圧(目視+触診)
灯火類(ヘッドライト/テールランプ/ブレーキランプ/空車表示灯)
ワイパー・ウォッシャー液の動作確認
ブレーキの踏み応えと異音
エンジン始動時の異音・振動
メーター表示の異常(警告灯など)
車内の清掃状況(シート・足元・窓)
ドアの開閉・ロック確認
無線機・ナビ・ドラレコの動作確認
運行記録簿の記入と提出 

🚨 まとめ:整備は最高の営業戦略

タクシーの法定点検や検査は、ドライバーの安全と、お客様への公平なサービス提供を守るためのものです。

特に新人ドライバーの皆さんは、バッテリー点検のように見落とされがちな項目を能動的に依頼し、車両への意識を高めてください。車両トラブルを未然に防ぐことこそが、最も安定して稼ぐための、最高の営業戦略なのです。

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