こんにちは。現役タクシードライバー歴7年、70歳のヤヌスです。
個人タクシーとして開業する際に、多くの人が迷うのが**「任意保険・自賠責・共済のどれを選べばいいのか?」**という問題です。
同じ「保険」に見えて、実は補償内容も、加入条件も、費用も大きく異なります。
特に個人タクシーは
- 事故時の賠償額が大きくなりやすい
- 加入必須の保険と任意の保険が混在している
- 保険料の差が年間で数十万円変わることもある
という特徴があり、適切な保険選びが収益にも安全にも直結します。
本記事では、任意保険・自賠責・共済の仕組み、違い、料金相場、メリット・デメリット、選び方のポイントをまとめ、個人タクシー開業者が迷わず判断できるように“保存版”として整理しました。
これから開業する方はもちろん、すでに営業していて「保険を見直したい」という方にも役に立つ内容です。
ぜひ参考にして、安心・安全でムダのない保険プランを選んでください。
この記事でわかること:
- 自賠責・任意保険・共済、**3種類の保険の役割と違い**
- 個人タクシー事業用保険の**料金相場**と**事故対応の違い**
- 開業直後、安定期、ベテラン期、**ステージ別の最適プラン**
- 保険料を抑えつつ**補償を厚くする**具体的な方法
個人タクシーが加入すべき保険は「3種類」ある
個人タクシーとして事業を始めるとき、「どの保険に加入すべきか?」は最も重要な検討ポイントです。
結論から言うと、個人タクシーが加入すべき保険は次の3つです。
- 自賠責保険(必須)
- 任意保険(事実上必須)
- 共済(任意保険の代替として選択可能)
自賠責・任意保険・共済の仕組みと役割の違い
まずは3種自動車保険の違いを大まかに理解しましょう。
① 自賠責保険(法律で加入が義務)
自賠責保険は、すべての車に加入が義務づけられている保険で、対人事故だけにしか使えない最低限の補償です。
- 死亡補償:最高3,000万円
- 後遺障害:75万円~4,000万円
- 傷害補償:最高120万円
重要なのは、対物事故は一切補償されないという点です。
② 任意保険(事業者なら必ず加入すべき)
任意保険は、自賠責でカバーできない部分を補う保険で、個人タクシーなら「必須」と言えます。
- 対人賠償(無制限)
- 対物賠償(無制限)
- 車両保険
- 人身傷害
- 搭乗者傷害
- 弁護士費用特約
- 休業補償特約
③ 共済(任意保険の代替として選択可能)
保険会社ではなく組合が運営する「相互扶助の仕組み」です。
メリット
- 保険料が比較的安い
- 保障が必要十分
- 組合のサポートがある
デメリット
- 事故対応のスピードが会社によって差がある
- 窓口が限定されることがある
個人タクシー保険の料金相場
3種自動車保険の早見表:
| 項目 | 自賠責保険 | 任意保険(事業用) | 共済(事業用) |
|---|---|---|---|
| 補償範囲 | 対人のみ(死亡・後遺障害・傷害の最低限) | 対人・対物・車両・人身傷害・搭乗者など広範 | 任意保険に類似(制度により異なる) |
| 対物補償 | なし | あり(無制限推奨) | あり(制度により上限あり) |
| 加入義務 | 法律で必須 | 事実上必須 | 任意(代替として選択可能) |
| 年間料金目安 | 27,000〜30,000円 | 200,000〜400,000円 | 150,000〜350,000円 |
| 事故対応 | 該当範囲のみ支払い | 24時間365日対応が一般的 | 窓口や受付時間が限定される場合あり |
| 特約 | なし | 弁護士費用・休業補償・ドラレコ等が充実 | 制度により限定的 |
| メリット | 最低限の被害者救済 | 補償が広く安心感が高い | 保険料が比較的安い/組合サポート |
| デメリット | 対物・車両補償なし | 保険料が高め | 事故対応スピードに差がある |
| おすすめ度 | 全員必須(土台) | 開業直後〜安定期は強く推奨 | ベテラン期やコスト重視派に選択肢 |
任意保険と共済の徹底比較
この違いをよく理解しておきましょう。
保険料
- 共済 → やや安い
- 任意保険 → 割引制度が豊富
補償内容
大差はないが、任意保険の方が特約が豊富。
事故対応
- 任意保険 → 24時間365日対応が一般的
- 共済 → 電話窓口が限定される場合あり
任意保険の選び方(チェックリスト)
- 対人・対物は無制限
- 車両保険は営業車なら加入推奨
- 休業補償は必須級
- 弁護士費用特約は絶対に必要
共済が向いている人・向いていない人
共済が向いている人
- 保険料を安くしたい
- 組合サポートを重視
- 事故リスクが低い
共済が向いていない人
- 事故対応スピードを重視
- 特約を細かく選びたい
- 大手の安心感が欲しい
保険料を抑えつつ補償を厚くする5つの方法
- ドラレコ付きプランを選ぶ
- 安全運転割のある保険を選ぶ
- 車両保険を限定型にする
- 免責額を適度に設定する
- 毎年見直して保険料を下げる
結論:個人タクシーが加入すべき最適プラン
開業直後
- 対人・対物無制限
- 車両保険:加入
- 弁護士費用:必須
- 休業補償:推奨
安定期
- 車両保険を調整
- 特約を最適化
ベテラン期
- 共済で保険料を抑える
この記事のまとめ
- 個人タクシーは「自賠責+任意保険 or 共済」が基本
- 対人・対物は無制限が必須
- 休業補償・弁護士費用特約は重要
- 共済は安いが事故対応に差あり
- 毎年の見直しで保険料は下げられる
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