タクシー運転手の給料は正社員の場合は一般的に基本給(15万円程度)+歩合給となる。嘱託などの正社員でない場合は歩合給のみとなる場合もある。
歩合給率はタクシー会社によって若干の差はあるが、毎月の収入の大きな差は次の給与体系から生じる。
1.足切り及びボーナス制度を取っているタクシー会社の給与。
2.ボーナス制度はなく足切りもないタクシー会社の給与。
この記事では、「足切り」という耳慣れない言葉の意味及び「公出」についても現役タクシー乗務員である私が個人的な体験を含めて解説します。
タクシー運転手の月収は地域や勤務形態で異なる
主な都市部におけるタクシー乗務員の平均的な月収は次の表の通りです。
【主要都市部におけるタクシー運転手の月収】
都市名 | 月収(概算) |
---|---|
東京都区部 | 30万円 ~ 50万円 |
大阪市内 | 28万円 ~ 45万円 |
名古屋市内 | 27万円 ~ 42万円 |
札幌市内 | 25万円 ~ 40万円 |
福岡市内 | 24万円 ~ 38万円 |
広島市内 | 23万円 ~ 35万円 |
かなりの差がありますが、この一番の理由は勤務形態(昼勤、夜勤、隔日勤)の違い。
これについては前記事で述べているので、興味あれば下のリンク先の記事を参考にしてください。
従って、あなたがタクシー運転手となってどの程度の収入を得たいかは、まずはどの勤務形態で仕事をするかによります。
「足切り」ありの給料とは?
足切りとは何か?
歩合給を基本とする給料の場合、仮に運収(売上)に対する運転手の取り分(歩合給率)が48%だったとします。
しかし、もし月額運収が一定額、例えば43万円を下回った時は運転手の取り分(歩合給率)が38%などになる。
これが足切り。
足切りを設けているタクシー会社はボーナス制度もありますが、半年間の運収が一定額を下回った場合のボーナスの算定率も低くなります。つまり、ボーナスにも足切りがあるということ。
私も以前にいたタクシー会社で足切りに泣いた経験があります。
特に、コロナの影響でタクシー利用客が激減した頃などは同じように働いても雀の涙ほどの給料しかなかったことを覚えています。
また、ボーナスの時などは半年間の売り上げが300万円あれば10%、つまり30万円あるはずのものでしたが、292万円だったので20万円ほどしかもらえませんでした。
しかも、ボーナスにも足切りがあるという話は聞いていませんでした。これもこの会社を辞めた理由の一つです。
足切りなしボーナスなしの給料とは?
私が現在勤めるタクシー会社は入社1年目の頃は足切りもボーナスもある会社でしたが、2年目にこれを止め現在は足切りもボーナスもありません。
会社の説明では、一定額のボーナスを給料に組み入れて運転手さんの毎月の給与額を増やすようにしたのだとか。
私が勤務するこの会社では現在の歩合給率はほぼ60%となり、毎月の手取り収入は増えました。
実感としては満足しています。
運収月額と足切りを心配する必要がなくなり気が楽になったということですが、ただ、最低賃金は必ず達成するようにはしています。
「公出」とは?
業界用語で「公出=こうで」という言葉がありますが、これは公休出勤の略です。
私の場合4勤1休(4日勤務して1日休む)が基本的なパターンですが、体力とやる気がある時、あるいは少し小遣い稼ぎをしたい時には公休日に出勤します。この場合は9日間の連続勤務となります。
公出日は仕事を終えたら普段通りに入庫処理をし清算処理をします。そして、税抜き運収(税抜き売上)の60%を現金で持ち帰ることができます。
これが「公出」という業界用語が意味する内容です。
でも、タクシーチケットや電子決済(クレジットカード、交通系IC、paypayやGo payなどのQRコード決済)が多く現金が少ない時は?
この場合はその日は公出とはせず普通の出勤日同様の処理をして月給に組み込みます。そして、現金売上が十分な日を公出日として税抜運収の6割を持ち帰るようにしています。
ただ、これは私が現在勤めるタクシー会社の例なので他のタクシー会社が同じような形で運転手さんに便宜を図っているかどうかはわかりません。
タクシー会社の面接を受ける際に「公休出勤をした場合はどんな収入となるんですか?」と、それとなく質問してみるといいかもしれません。
まとめ
・タクシー運転手の給与は基本給+歩合給か、歩合給のみの2パターンがある。
・タクシー運転手の収入差の一番の理由はどんな勤務形態(昼勤、夜勤、隔日勤)かによる。
・次に、タクシー運転手の収入の差は足切り制度の有無による。
・足切り制度とは、営業目標を下回った場合に歩合率を下げる制度。
・足切りあり会社ではボーナスにも足切りがある場合がある。
・私の前職では足切りでボーナスが大幅減額された経験あり。
・現在の会社は足切り・ボーナスなしで、歩合率60%と高め。
・「公出」とは公休日出勤のことで税抜き運収の60%を現金で持ち帰ることができる。
・公出の規定は会社によって異なるため、入社時に確認が重要。