チップをはずむ乗客の心理とタクシー運転手の会話術|感謝される接客のポイント

タクシー運転手にチップをはずむ乗客 運転免許

飲食店でチップを払うお客さんはめったにいませんが、タクシー運転手にチップをはずむ乗客はかなりいます。

では、なぜタクシーの乗客はよくチップを払うのか?

その理由には、タクシー運転手と乗客の間に生まれる特別な瞬間や、道中でのコミュニケーションが大きく関係しています。

乗客が心地よく感じるサービスや、運転手のちょっとした気遣いによって、乗客は『感謝の気持ち』や『喜び』を形で示したくなることがあるのです。

この記事では、なぜタクシー運転手へのチップが発生しやすいのか、その心理的背景とともに、乗客との会話を通じて感謝される接客のポイントについて解説します。

なぜタクシー乗客はチップを払うのか?その心理に迫る

タクシー運転手へのチップは、乗客が感じる特別な瞬間や第一印象によるものであり、その背景には心理的な要素が大きく関わっています。

まず、タクシーに乗り込んだ瞬間の第一印象が重要です。お客様はタクシーに乗り込む時には「どんな運転手さんなんだろう?」という心理にあります。

運転手の笑顔や挨拶の仕方が好印象を与えると、乗客はリラックスし、安心感を持って乗車を楽しむことができます。

このようなポジティブな第一印象は、乗客がチップを払う意欲を高める一因となります。

また、運転手が提供するサービスや対応の質も大きな影響を与えます。

例えば、乗客の荷物を積み下ろしする際の丁寧な対応や、道中の会話での気遣い、観光名所や地元の情報を教えるなどの心配りは、乗客にとって価値ある体験となります。

これらのサービスが心地よいものであればあるほど、乗客は感謝の気持ちを表すためにチップを渡す可能性が高まります。

さらに、運転手がプロフェッショナルであることを示す行動も、チップを払う動機となります。

例えば、道案内が正確でスムーズであったり、安全運転を心掛けたりする姿勢は、乗客にとって信頼感を生み出します。

このような信頼感が積み重なることで、乗客は運転手に対して高い評価を持ち、チップという形でその感謝を示すことが多いのです。

最終的に、乗客がチップを払う心理には、運転手との間に築かれる信頼関係と心のつながりが大きく影響しています。

第一印象での好感、サービスの質、プロフェッショナルな対応が組み合わさることで、乗客は自然と感謝の気持ちを表したくなるのです。

このような背景を理解し、実践することで、タクシー運転手はさらに多くの乗客からチップを受け取る機会を得ることができるでしょう。

タクシー運転手がチップをもらいやすい接客のポイント

以下にタクシー運転手がチップをもらいやすくするための接客ポイントをまとめます。

これらのポイントを実践することで、乗客に対するサービス品質を向上させ、チップを得やすくなるでしょう。

1.第一印象を大切にする

笑顔で乗客を迎え、丁寧な挨拶を心掛けましょう。最初の印象が良いと、乗客は安心感を持ち、快適な乗車体験を期待するようになります。

ドアを開けてお客様を迎える時の言葉:私の場合

私は手を揚げたお客様にドアを開ける時には「おはようございます。どうぞ」と言うようにしています。

「ご乗車ありがとうございます」も悪い言葉ではないですが、少し他人行儀な感じがします。

むしろ、笑顔で「おはようございます。どうぞ」と言った方がお客様は気楽になるのではないでしょうか?

2.丁寧な対応と親切心

乗客の荷物の積み下ろしを手伝ったり、ドアの開閉をサポートするなどの細やかな気遣いが、乗客に感謝の気持ちを生み出します。

手荷物をお持ちのお客様のサポート:私の場合

キャリーケースなどの大きな荷物を持ったお客様の場合は運転手である私がトランクに収める作業をするのは当然です。

しかし、買い物袋などの手荷物を持ったお客様の場合も「その荷物私に渡してください」と言って車の中に楽に入れるようにしてあげています。

3.快適な会話を提供する

乗客が話し好きか静かに過ごしたいかを見極め、適切なコミュニケーションをとることが重要です。観光地や地元の情報を提供することも好印象を与えます。

4.安全運転とプロフェッショナルな対応

丁寧で安全な運転を心掛け、プロフェッショナルな姿勢を示しましょう。これにより、乗客は信頼感を持ち、自然とチップを渡したくなります。

5.車内環境の整備

車内を清潔に保ち、快適な空間を提供することも大切です。エアコンの調整や音楽の選択など、乗客が快適に過ごせるよう配慮しましょう。

これらの接客ポイントを実践することで、タクシー運転手は乗客に対して一層の信頼と満足感を提供でき、結果的にチップをもらいやすくなります。

日常のちょっとした心遣いが、大きな感謝の気持ちにつながるのです。

乗客に喜ばれるタクシー運転手の会話術とは?

タクシー運転手に求められる会話術は、乗客との距離を縮めるだけでなく、信頼関係を築くために非常に重要です。

以下のポイントを押さえれば、乗客に喜ばれる運転手になることができます。

1.柔軟な対応力

乗客の性格やその日の気分に合わせた柔軟な対応が必要です。

話し好きな乗客には、適度な会話を提供し、静かに過ごしたい乗客には無理に話しかけないことが大切です。

最初に軽く話しかけることで、乗客の反応を見て適切な対応を取ることができます。

親しみを持たせる会話の始め方:私の場合

行く先を把握した後に頃合いを見計らって「たいぶ秋めいてきましたね」とか「今からご出勤ですか?」とか当て障りのない言葉を投げかけるようにしています。

それに対するお客様の反応のあり方でお客様が話をしたい人かどうか、さらに会話を盛り上げるべきかどうかを瞬時に理解するようにしています。

2.親しみやすい話題選び

天気や地元の話題など、誰でも気軽に話せる話題を選ぶと良いでしょう。

また、観光客には観光名所や美味しいレストランの情報を提供することで、乗客の興味を引きやすくなります。

運転中に見かけた景色について話すことも、会話を弾ませるきっかけとなります。

観光客の興味を引き出す:私の場合

私がタクシー運転手をしている福岡市はますます観光客の訪問が増え続けています。

それで、観光客かなと思われるお客様に「福岡にはご旅行ですか?」と呼び水の言葉を投げかけます。

それでノリがいいお客様には「福岡は美味しいものがいっぱいありますが、何かいいもの食べられました?」と誘い水を掛けます。

それでお客様が「運転手さん、どんなものがお勧めですか?」などと訊ねてきたら観光客にはあまり知られていない地元の美味い料理屋(ラーメン、うどん、海鮮などなど)を教えてあげます。

また、糸島や海の中道のドライブがどんなに楽しいかなども教えてあげるととてもよろこばれます。

3.丁寧な言葉遣い

丁寧な言葉遣いは、乗客に対する敬意を示すものです。

特に高齢者やビジネス客には、礼儀正しい言葉遣いを心掛けましょう。適度な敬語を使いながらも、親しみやすさを保つことが重要です。

4.共感と気遣い

乗客の話に耳を傾け、共感の気持ちを持って対応することが大切です。

乗客が話している内容に対して、適切な相づちやコメントを入れることで、乗客は自分の話をしっかり聞いてもらえていると感じます。

また、乗客の体調や気分に気遣いの言葉をかけることで、好印象を与えることができます。

会話の鉄則:私の場合

お客様がこちらの情報に耳を傾けている時は自分本位に話しますが、お客様がご自身の体験や意見を話している時は聞き手に徹しています。

そして、適当な相槌を打って私が耳を傾けていることを知らせ、概ねお客様の考えに同意することにしています。

5.プロフェッショナルな態度

タクシー運転手としてのプロ意識を持ち、常に礼儀正しく振る舞うことが求められます。

安全運転はもちろんのこと、乗客の安全と快適さを第一に考える姿勢が信頼を築きます。

これらのポイントを意識することで、乗客に喜ばれるタクシー運転手としての会話術を磨き、より多くのチップやリピーターを得ることができるでしょう。

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私がチップを頂いた事例と訳の解説

私は今までチップを頂いた数多くの経験がありますが、その中からいくつかのケースをご紹介しなぜお客様がチップをはずんだのか思うところを述べたいと思います。

ケース1:高齢者を乗せ話をよく聞いてあげた。

ある日の午後ですが、福岡市天神のバス停近くでショッピングカートを持った足の悪そうなおばあちゃんが手を挙げました。

停車して「こんにちは、どうぞ」と招きながらショッピングカートを車内に入れてあげると嬉しそうに行先を告げてこう言われました。

「前とその前のタクシーも素通りされたので....よかったぁ~」

タクシー運転手の中には体に難を抱える人を忌避する人もいます。

私はむしろそんな人には手助けをしたくなるほうなので、このおばあちゃんを見たときは必ず乗せたいと感じていました。

目的地までの道中はおばあちゃんの家庭の事情やら病院行きの話やら聞かされましたが、相槌を打ったり質問をしたり突っ込みをいれたりしながら楽しいものでした。

そして、目的地(城南区樋井川三丁目のロイヤルホスト)に到着し¥2,600ほどの料金を精算する時におばあちゃんは千円札を四枚出されました。

「一枚多いですよ」と言うと、おばあちゃんは「運転手さん、楽しかった。残りはとっといて」と笑顔。

足腰が悪い高齢者は生活の不便を抱えるだけでなく、高齢者というだけでなかなか相手にしてもらえないという寂しさを感じているものです。

なので、他人の親切はより身に染みるような嬉しさを覚えるもの。

チップを目当てに高齢者に親切にするものではありませんが、この経験は高齢者の気持ちに寄り添った例として記憶に残っています。

ケース2:旅行者にローカルなグルメ情報提供をした。

これは実によくあるケースですが、ますます人気の旅行先となりつつある福岡市ではグルメ情報を求める他県からの旅行者が多い。

福岡と言えば豚骨ラーメンなので一蘭やShinShinや一双などの有名店を目指す人はお多いのですが、私の場合「運転手さん、お薦めのラーメン屋さんありますか?」と訊かれた時は必ずこの店「はかたや百年橋店」を紹介しています。

はかたや百年橋店

「はかたや百年橋店」のラーメン

ここは観光客はあまり来ないのですぐに入店して食べることのできる店だとか、ラーメンは一杯¥290だとかしっかり血抜きをした臭みのないラーメンだとか教えてあげると、今まで何度となくそこに連れていってほしいと言われた店です。

ラーメンに限らず福岡はうどん(スープはアゴだし)も美味いのでよく教えてあげるのが福岡市城南区にある「うどん和助。」

うどん和助

和助のざるうどん

他にも、私が気に入っている海鮮居酒屋、焼き鳥屋などの話をしてあげると、チップを頂くことがよくあります。

そんな時にお客様がよく言われるのが「やっぱり地元に人に教えてもらうのが一番ですね!」

なので、タクシーの運転手が地元ならではのグルメ情報を豊富に持ってお客様に教えてあげると、お客様はお礼としてあるいは情報提供料としてチップをはずむ気持ちになります。

ケース3:地元情報ならではの観光スポットを教える。

私の地元である福岡を訪れる旅行者は太宰府天満宮などの有名な観光地は知ってますが、中には「運転手さん、何処か行ったらいい所ありますか?」と訊ねる人もいます。

私が真っ先に教えるのは糸島の海を観ながらのドライブ。

糸島幣の浜

特に、延々と続く白い砂浜がある幣の浜は訪れる価値がある場所です。

逆に東区にある海の中道から志賀島に行くルートも快適なドライブを楽しめる所。

今まで「じゃ、明日レンタカー借りて行ってみます」と言われた乗客が何人もいます。

また、太宰府天満宮の少し前にある観世音寺のことなどもお話しすることがあります。

ここはとても古いお寺で、日本最古の釣鐘(梵鐘)があり、宝蔵建物の中には平安末期から鎌倉期に掛けての国宝級の仏像が多数展示されています。

以上は、福岡の観光地をネットなどで検索してもなかなかたどり着けない情報のようで、地元のタクシー運転手のこういった情報は貴重に感じられるようです。

このように地元の人間であるタクシー運転手が多少レアーな情報を惜しむことなく伝えることで、お客様は感謝の形としてチップをはずむことがよくあります。

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まとめ

チップをはずみたくなるタクシー運転手の心得と注意点

1.丁寧な第一印象

挨拶や笑顔での接客で、最初の印象を良くすることがチップの可能性を高めます。

2.さりげない気遣い

荷物の積み下ろしや、乗客の体調に気を配るなど、細やかな気遣いが感謝の気持ちを引き出します。

3.相手に合わせた会話

乗客の様子を見て、話したい場合は会話を楽しみ、静かにしたい場合はそっとしておく柔軟さが必要です。

4.安全運転とプロ意識

プロとしての運転と接客姿勢が信頼を生み、チップを渡したくなる気持ちを高めます。

5.地元情報の提供

おすすめの飲食店や観光スポットなど、地元ならではの情報を教えると、観光客からの評価が上がりやすいです。

これらの心得を実践し、乗客との信頼関係を築くことで、チップやリピーターが増える可能性が広がります。

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