タクシー事故の原因と対策:安全確認不足が40%を占める理由

タクシー事故映像 運転免許

令和5年内閣府のデータによると、タクシーの事故率は普通乗用車の1.5倍、トラックの約4倍、乗り合いバスの6.7倍に達しています。

この驚くべき統計は、タクシー運転手が直面する現実を浮き彫りにしています。

なぜタクシーは他の車両よりも事故を起こしやすいのでしょうか?

そして、どのようにすればタクシー事故を減らすことができるのでしょうか?

この記事では、タクシー事故の原因と対策について、最新のデータをもとに深掘りしていきます。

タクシー事故の統計

タクシー事故に関する令和5年内閣府のデータをまとめると以下のようになります。

・事故率: タクシーの事故率は普通乗用車の1.5倍、トラックの4倍、バスの6.7倍です。

・空車時と実車時: 空車時の事故件数は実車時の2.5倍です。

・運転手の年齢: タクシー事故の多くは60歳以上の運転手が関与しています。

・重大事故: 重大事故や健康起因の事故の多くは65歳以上の運転手が関与しています。

・交通違反: 交通違反別の事故件数では、「安全不確認」が約40%(2,849件)と最も多いです。

・事故の種類: タクシー事故の約75%は他の車両との衝突で、その中でも「出合い頭衝突」と「追突」が最も多いです。

・歩行者・自転車との事故率は普通乗用車の2倍以上。

高齢タクシー運転手の事故率が高い要因

高齢タクシー運転手の事故率が高い要因について、以下の点が挙げられます。

1.反応速度の低下: 高齢になると、反応速度が遅くなることが多く、緊急時の対応が遅れる可能性があります。

これにより、事故のリスクが高まります。

2.健康問題: 高齢運転手は、健康問題を抱えていることが多く、これが運転中の集中力や判断力に影響を与えることがあります。

特に、心臓病や糖尿病などの慢性疾患は、運転中の突然の体調不良を引き起こす可能性があります。

3.視力や聴力の低下: 年齢とともに視力や聴力が低下することがあり、これが運転中の危険認識能力に影響を与えることがあります。

特に夜間や悪天候時の運転が困難になることがあります。

4.運転経験の過信: 長年の運転経験により、自信過剰になることがあります。

これにより、安全確認を怠ることが増え、事故のリスクが高まることがあります。

5.疲労の蓄積: 高齢運転手は、若い運転手に比べて疲労が蓄積しやすく、長時間の運転が困難になることがあります。

疲労は、注意力や反応速度に悪影響を与えるため、事故のリスクを高めます。

これらの要因を考慮し、高齢タクシー運転手の事故率を低減するためには、定期的な健康チェックや運転技術の再評価、適切な休憩の確保などが重要です。

タクシー事故を減らすための対策

タクシー事故を減らすためには、以下の対策が有効です。

1.運転手の教育と訓練: 定期的な安全運転講習やシミュレーション訓練を実施することで、運転手の安全意識を高めることができます。

2.健康管理の徹底: 定期的な健康チェックを行い、運転手の健康状態を把握することで、健康問題による事故を防ぐことができます。

3.運転環境の改善: 休憩施設の充実や勤務時間の見直しを行い、運転手が十分な休息を取れる環境を整えることが重要です。

ただ、こういった一般的な対策はちゃんとしたタクシー会社であれば取り組んでいます。

タクシー乗務テクノロジーの活用

最新のテクノロジーを活用することで、タクシー事故を減らすことができます。

1.運転支援システムの導入: 自動ブレーキや車線逸脱警報などの運転支援システムを導入することで、事故のリスクを低減できます。

2.ドライブレコーダーの活用: ドライブレコーダーを活用することで、事故の原因を明確にし、再発防止策を講じることができます。

3.デジタルタコグラフの導入: デジタルタコグラフを導入することで、運転時間や速度を管理し、過労運転や速度超過を防ぐことができます。

これらの対策を講じることで、タクシー事故の発生率を効果的に低減することが期待されます。

これもちゃんとしたタクシー会社なら取り組んでいるものです。

では、タクシー運転手の事故率が高い要因は会社側の問題とは別にタクシー運転手自体にあるのではないでしょうか?

参考記事:タクシー運転手に向く人と向かない人の違いと特徴を現役乗務員が解説する

その辺を以下に考えてみたいと思います。

タクシー運転手の性格や行動特性が事故に与える影響

タクシー運転手の性格や行動特性も、事故の発生に影響を与える要因の一つです。以下の点が挙げられます。

1.リスクテイキングの傾向: 一部の運転手は、時間を節約するためにリスクを取る傾向があります。

例えば、信号無視や急な車線変更などがこれに該当します。これらの行動は、事故のリスクを高める要因となります。

2.ストレス管理能力: タクシー運転手は、長時間の運転や乗客とのやり取りなど、ストレスの多い環境で働いています。

ストレス管理がうまくできない場合、注意力が散漫になり、事故のリスクが高まります。

3.コミュニケーションスキル: 乗客とのコミュニケーションが円滑でない場合、運転中に注意がそれることがあります。

特に、乗客からの指示や質問に対応する際に、運転に集中できなくなることがあります。

4.自己過信: 長年の運転経験により、自分の運転技術に過信することがあります。

これにより、安全確認を怠ることが増え、事故のリスクが高まることがあります。

5.適応力: 都市部の複雑な交通状況や急な天候変化に迅速に適応できる運転手は、事故のリスクを低減することができます。

一方で、 都市部の複雑な交通状況や急な天候変化に迅速に適応できない運転手は、これらの状況に対応するのが難しく、事故のリスクが高まります。

現役のタクシー運転手の私(69歳)の感想

私がタクシー運転手の仕事を始めて約5年の月日が経ちますが、お陰様でプライベートも含めて私自身は一度も自分から起こした交通事故はありません。

この5年間の間に私が勤めるタクシー会社で他の乗務員さんたちの様々な事故報告を受けています。

事故があった翌日には社内でドライブレコーダーを元にしたモニター映像が流れるので他の運転手さんたちも状況を共有できるようになってます。

そこで誰がどんな状況でどんな事故を起こしたかがわかるわけですが、こういったリアルな経験からタクシー運転手の事故に関する私なりの感想を以下に述べます。

タクシー運転手の仕事の環境と注意義務

タクシー運転手は連日10時間程度の車の運転をする仕事です。

また、お客様を乗せた実車状態ではお客様の命を預かる仕事でもあります。

さらに、お客様の乗っていない空車状態でも一定の緊張と注意を怠らないことが要求される仕事です。

仮に、実車空車に関わらず、事故を起こしたとなればその日の仕事は無駄に終わることもあります。

人身事故などの重大事故ともなれば、場合によってはそれから先の人生に大きな禍根を残す事態にもなります。

なので、タクシー運転手を自分の仕事として志す人に最も必要なことは、交通事故の危険性と災禍をよくよく自覚することです。

事故を起こすタクシー運転手も起こさない同じ人

私がこれまで勤めてきたタクシー会社の事故例に顕著な特徴は、事故を起こす運転手さんは概ね同じ人だということです。

同様に、事故を起こさない運転手さんもほぼ同じ人です。

これは運転手さん自身の性格や性格が反映すると思われる運転の仕方によるものと考えられます。

【事故を起こしやすい運転手さんの性格と運転】

・安全運転よりも売り上げを優先にしている。

・他車を追い抜いたり他車に切り込んだりすることがいいと考えている。

・視界の悪いところでもだいたいの勘で車を運転する。

事故を起こしにくい運転手さんの性格と運転

・事故のない安全運転を優先し売り上げは二の次と考えている。

・どんなに失礼な切込みや追い越しを受けてもそのまま受け流す。

・視界の悪いところでは必ず一旦停車し、左右の確認をしながら最徐行で進む。

以下は、私が毎日の出庫時に必ず唱和する安全運転の六か条ですが、お客様からお金を頂いて目的地まで無事にお届けするタクシー運転手をやる以上は心すべきことと考えています。

安全運転の六か条】

・ 急がない

・ 焦らない

・ 慌てない

・ イライラしない

・ 行こう行こうとしない

・ 競わない

まとめ

1)タクシー事故の統計:

・タクシーの事故率は普通乗用車の1.5倍、トラックの4倍、バスの6.7倍。

・空車時の事故件数は実車時の2.5倍。

・60歳以上の運転手が多くの事故に関与。

・重大事故や健康起因の事故の多くは65歳以上が関与。

・事故原因の40%は安全府確認。

2)高齢タクシー運転手の事故率が高い要因:

・反応速度の低下、健康問題、視力や聴力の低下、運転経験の過信、疲労蓄積。

3)タクシー事故を減らすための対策:

・運転手の教育と訓練、健康管理の徹底、運転環境の改善。

・タクシー乗務テクノロジー(運転支援システム、ドライブレコーダー、デジタルタコグラフ)の活用

4)現役のタクシー運転手である私の感想::

事故を起こしやすい運転手さんと事故を起こさない運転手さんの性格と運転。 → 安全運転の六か条(急がない、焦らない、慌てない、イライラしない、行こう行こうとしない、競わない)

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