こんにちは。現役タクシードライバー歴7年、70歳のヤヌスです。
私たちタクシー運転手にとって、車両費と並んで収益に大きく影響するのが「燃料費」です。その燃料費の構造に、大きな変化をもたらすニュースが報じられました。
それは、長年ガソリンや軽油に課されてきた「暫定税率(当分の間税率)」が廃止されるというものです。
ガソリンで1リットル当たり25.1円、軽油で17.1円という税金がなくなることになりますが、一体いつから安くなるのか?そして、年間でどれくらいのコスト削減につながるのか?
本記事では、資源エネルギー庁の発表に基づき、この制度変更が私たちタクシードライバーの経営に与える影響を、「年間削減額」の試算を含めて徹底解説します。
結論:ガソリン暫定税率の廃止により、個人タクシーは年間25万円以上の燃料費削減が見込まれます。(年間走行10万kmの場合)
本記事では、資源エネ庁の発表内容をもとに、いつから安くなるのか?本当に値下がりするのか?をドライバー目線で解説します。
この記事でわかること:
- ガソリンの暫定税率25.1円/Lの廃止時期と、価格引き下げの具体的なスケジュール
- 個人タクシー経営者が期待できる年間コスト削減額の試算
- 価格変動期にドライバーが注意すべき「買い控え」のリスク
1. なぜ今?「ガソリン暫定税率廃止」の基本知識
まずは、今回廃止される「暫定税率」が何だったのか、そして廃止の時期を確認しましょう。
1.1 暫定税率とは?ガソリン1L当たり25.1円の税金
暫定税率とは、ガソリンの揮発油税・軽油引取税に含まれる税金の一部で、元々は道路整備の財源として1974年に導入されました。
- ガソリン(揮発油税など):1リットル当たり 25.1円
- 軽油(軽油引取税):1リットル当たり 17.1円
この税金が、ガソリンは2025年12月31日、軽油は2026年4月1日に廃止される方向で検討されています。
1.2 燃料費は「いつ」安くなるのか?廃止当日ではない理由
暫定税率の廃止当日に、ガソリンの価格が25.1円一気に下がるわけではありません。これは、急激な価格変動による流通の混乱や、ガソリンスタンドでの買い控え・在庫切れを防ぐためです。
税率の引き下げ効果は、補助金の段階的な拡充によって、事前に市場価格に反映される仕組みがとられます。
2. 価格は段階的に下がる:補助金拡充のスケジュール
では、いつから価格引き下げの効果が小売価格に反映されていくのでしょうか。資源エネルギー庁の方針によると、補助金を段階的に引き上げることになります。
2.1 価格引き下げは補助金拡充で「段階的」に進む
価格の変動幅を最大5円程度に抑えながら、補助金の支給単価が引き上げられます。この補助金の効果は、スタンドの在庫状況にもよりますが、11月中旬以降、しだいに小売価格に反映されていく見込みです。
- ガソリン:12月中旬頃に、暫定税率廃止と同水準の25.1円の補助金支給単価となる予定。
- 軽油:11月下旬頃に、廃止と同水準の17.1円の補助金支給単価となる予定。
つまり、廃止を待たず、11月以降、徐々に燃料コストが下がっていくと予測されます。
3. 【徹底試算】燃料費の年間削減効果はいくら?
最も重要なのは、この25.1円/Lの負担軽減が、私たちの収益にどれだけ貢献するかという点です。タクシー運転手の平均走行距離に基づき、削減効果を試算します。
3.1 個人タクシー経営者の年間削減シミュレーション
個人タクシーは走行距離が長いため、この税率廃止の恩恵を最大限に受けます。以下の条件で試算します。
- 年間走行距離:100,000km
- 車両の平均燃費:10km/L
- 年間給油量:100,000km ÷ 10km/L = 10,000L
- 削減効果:10,000L × 25.1円/L = 251,000円
暫定税率廃止がフルで適用されると、年間で約25万円以上の経費が削減できる計算になります。これは、個人タクシーの収益改善に直結する非常に大きな影響です。
3.2 法人タクシードライバーへの間接的な影響
法人ドライバーの場合、燃料費は会社負担ですが、法人のコストが大幅に下がることで、以下のような間接的な恩恵が期待できます。
- 給与体系の見直しや改善の余地が生まれる
- 車両への投資(新型車両、設備など)に資金が回りやすくなる
燃料費削減は、業界全体の経営基盤強化につながるため、法人ドライバーにとっても決して無関係な話ではありません。
4. ドライバーとして「買い控え」を避けるべき理由
価格引き下げを期待して、給油を控えようと考える人もいるかもしれません。しかし、これはプロのドライバーとして絶対に避けるべき行動です。
4.1 過去の例と流通の混乱リスク
過去の暫定税率失効時には、ガソリンスタンドに給油待ちの長い行列ができ、混乱や一時的な在庫切れが発生しました。これは、私たちドライバーの営業機会の損失に直結します。
4.2 災害時の備えとして「満タン」を心がける
能登半島地震などの例からもわかる通り、災害発生直後にはパニック・バイ(衝動的な買いだめ)が発生し、燃料が入手困難になります。私たちは「人」を乗せるプロとして、お客様や自身のためにも、燃料メーターが半分程度になったら満タンにするなど、日頃から災害への備えを徹底すべきです。
ガソリンの価格は順次値下がりしていくため、目先の数十円を追うのではなく、「もしも」の事態に備えて普段通りの給油を心がけましょう。
まとめ:ガソリン税廃止はコスト最適化の大きな追い風
今回のガソリン暫定税率廃止は、私たち個人タクシー経営者にとって、年間数十万円単位で燃料コストを最適化できる大きな追い風となります。
ただし、ガソリンの価格は原油価格や為替の動向にも左右されるため、必ずしも25.1円全額が店頭価格に反映されるわけではない点には注意が必要です。しかし、コスト負担が軽減される方向にあることは間違いありません。
この機会を活かし、他の経費も見直して、より強固な収益基盤を構築していきましょう。
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