タクシー運転手の面接時に問題となる5つの健康条件:2024年最新ガイド

タクシー会社の面接風景 運転免許

タクシー運転手という職業は、乗客の安全と快適な移動を確保する重要な役割を担っています。

そのため、運転手の健康状態は極めて重要な採用基準となります。

本記事では、2024年現在のタクシー業界において、面接時に特に注目される5つの健康条件について詳しく解説します。

これらの情報は、タクシー運転手を目指す方々や人事担当者にとって、貴重な指針となるでしょう。

1.視力と聴力の重要性

タクシー運転手さんにとって視力と聴力って大事ですよね?

仰る通りです。以下に解説しますね。

タクシー運転手としての視力と聴力は、安全運転に直結する一番重要な要素です。

視力が低下していると、道路標識や信号、歩行者や他の車両を適切に認識できず、事故のリスクが高まります。

特に夜間や悪天候時には、視力の良し悪しが運転の安全性に大きく影響します。

視力と夜間運転の適性:クリアな視界が重要な理由

視力についての注意点

タクシー運転手として働くためには、視力は非常に重要な健康条件の一つです。

道路交通法においては、運転免許の取得や更新時に厳格な視力基準が設けられており、これに適合しない場合は運転が許可されません。

具体的には、普通免許では、裸眼または矯正視力で両眼で0.7以上、かつ一眼で0.3以上が必要です。もし一眼が0.3未満でも、視野が150度以上あれば免許の取得は可能です。

また、タクシー運転手にとって重要なのは夜間の運転適性です。夜間は視界が悪化しやすく、対向車のライトや街灯の影響で瞬時の判断が求められます。

視力の低下や矯正が不十分な場合、標識や歩行者、道路状況を正確に認識できない可能性があり、重大な事故に繋がるリスクが高まります。

そのため、面接時には視力検査や眼科検診の結果が求められます。

色覚異常についての注意点

加えて、色覚異常(色盲や色弱)の有る無しも重要な法的・健康的条件です。

タクシー運転手として安全に働くためには、交通信号や標識の色を正確に識別できることが求められます。

かつては色覚異常のある方が運転免許を取得する際に制限が設けられていましたが、現在では法的な規制は緩和されています。

しかし、タクシー運転手としては、業務中に信号や警告灯の色を正しく判断できる能力が極めて重要です。

たとえば、信号機や交通標識の色は運転中の即時判断に影響を与えるため、色覚に問題がある場合は特に注意が必要です。

道路交通法施行規則では、色覚異常があっても運転自体に支障がない場合、免許の取得や更新は可能ですが、タクシー運転手として働く場合は職場での適性判断が行われることがあります。

特定の色覚補正レンズの使用や訓練を行うことで、色覚異常を補完することも可能です。

視力や色覚に問題がある場合でも、適切な矯正や対策を講じることで安全な運転が可能となります。

タクシー運転手としての適性を維持するために、定期的な眼科検診を受けることが推奨されます。

聴力の基準

タクシー運転手として安全に業務を行うためには、視力だけでなく聴力も重要な健康条件です。

交通状況を把握し、安全運転を維持するためには、外部の音に対して正確に反応する能力が求められます。

例えば、緊急車両のサイレン、クラクション、歩行者の警告音など、音の認識とその適切な対応は、運転業務における安全性を大きく左右します。

道路交通法に基づく聴力の要件

道路交通法やその関連規定において、運転免許の取得や更新に際しては聴力に関する要件も定められています。

具体的には、補聴器なしで90デシベルの音が聞こえることが基準です。

つまり、ある程度の聴覚障害があっても、90デシベルの音が確認(通常の会話を1メートルの距離で聞き取れること)ができれば免許の取得は可能です。

また、両耳に問題がある場合でも、片耳で基準を満たしていれば運転は許可されることがあります。

こういった基準を満たすことで、緊急車両のサイレンや他の車両のクラクション、歩行者の声など、周囲の音を正確に聞き取る能力が確保されると考えられています。

関連記事:タクシー運転手に必要な普通二種免許取得と実際の勤務までの要点解説

2.血圧と心臓の健康:長時間運転でのリスク管理

タクシー運転手にとって、血圧と心臓の健康管理は極めて重要です。

長時間の座位姿勢、不規則な食事、ストレスなどが心血管系に悪影響を及ぼす可能性があるためです。

基準と影響

日本のタクシー業界では、第二種運転免許取得時に収縮期血圧180mmHg未満、拡張期血圧110mmHg未満が求められます。

高血圧は突然の意識喪失や心臓発作のリスクを高め、運転中の事故につながる可能性があります。

リスク要因

  1. 長時間の座位姿勢:血流を妨げ、血圧上昇の原因となります。
  2. 不規則な食生活:塩分過多や肥満につながり、高血圧のリスクを高めます。
  3. ストレス:血圧上昇や不整脈を引き起こす可能性があります。
  4. 睡眠不足:血圧調整機能に悪影響を与えます。

管理方法

  1. 定期的な健康診断:年1回以上の血圧チェックと心電図検査を受けましょう。
  2. 適度な運動:シフト間の短い運動で血流を改善します。
  3. 健康的な食事:低塩分、バランスの取れた食事を心がけます。
  4. ストレス管理:瞑想やディープブレスなどのリラックス法を実践します。
  5. 十分な睡眠:質の良い睡眠を確保し、体調を整えます。

最新の取り組み

  • 私が勤める福岡市のタクシー会社もそうですが、一部のタクシー会社では社内に血圧計を設置し、運転手が定期的にチェックできるようにしています。
  • ウェアラブルデバイス(体に装着できる血圧測定器)を活用し、リアルタイムで心拍数や血圧をモニタリングする試みも始まっています。

適切な管理と予防策を講じることで、タクシー運転手の方々も健康的に長くキャリアを続けることができます。

3.糖尿病と運転業務の安全性:定期的なチェックが鍵

タクシー運転手として働く場合、糖尿病の管理が非常に重要です。

糖尿病患者は、血糖値の急激な変動により、運転中に低血糖発作を引き起こすリスクがあり、その結果、意識障害や事故の危険性が高まります。

特に長時間の運転が続く職業では、食事やインスリン注射の管理が不十分だと低血糖や高血糖の発症リスクが増加します。

道路交通法では、糖尿病患者に対しても運転免許取得や更新時に適切な管理が求められ、重度の低血糖発作を繰り返す場合、医師の診断書が必要になることがあります。

運転中に発作を防ぐためにも、定期的な血糖値のチェックが不可欠です。

タクシー運転手としての仕事に支障をきたさないよう、日々の血糖管理に加え、適切な休憩や食事のタイミングを確保することが重要です。

また、低血糖時に対応できるよう、ブドウ糖などの非常食を常備し、異変を感じた際は速やかに運転を中断する習慣を持つことも推奨されます。

糖尿病患者でも、適切な管理と習慣により、安全に業務を遂行できます。

4.睡眠時無呼吸症候群(SAS):事故防止のための検査と対策

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、タクシー運転手にとって深刻な健康リスクです。

SASは、睡眠中に何度も呼吸が止まる症状で、結果的に慢性的な睡眠不足を引き起こします。

これにより、日中の眠気や集中力の低下が生じ、運転中の反応速度が鈍くなるため、事故のリスクが著しく増加します。

特に長時間の運転が求められるタクシー運転手にとって、SASは重大な問題となり得ます。

道路交通法では、SASのような睡眠障害を持つ場合、運転免許の取得や更新にあたって医師の診断が求められることがあります。

適切な治療がされていない場合、免許の交付が制限されることもあります。

SASの検査方法としては、病院での睡眠ポリグラフ検査や簡易的な検査キットを使うことが一般的です。治療としては、CPAP(持続陽圧呼吸療法)や生活習慣の改善が効果的です。

特にタクシー運転手は、定期的に検査を受け、自分の状態を把握し、適切な治療を継続することが重要です。

定期的な検査と治療によって、SASによる事故リスクを低減し、安全運転を維持することが可能です。

私が勤める福岡市のタクシー会社では面接時に無呼吸症候群であることがわかった時点で採用不可となります。

また、最近の例ですが、睡眠時無呼吸症候群を持つ夜勤務の50代の男性運転手が居眠り運転で軽い事故を起こしました。彼の場合は大事故の前歴もあるので、直ちに昼勤務に配置換えとなりました。

5.アルコール依存と運転業務の危険性:安全運転への影響と対策

アルコール依存は、タクシー運転手にとって極めて深刻な問題です。

飲酒運転は重大な交通事故を引き起こすリスクを伴い、運転業務の安全性に大きな影響を与えます。

アルコールが体内に残っていると判断力や反射神経が低下し、緊急時の適切な対応ができなくなるだけでなく、長期的な飲酒習慣は健康にも悪影響を及ぼします。

アルコール依存が進行すると、自覚がないまま飲酒運転を繰り返す危険性が高まります。

道路交通法では、アルコールを摂取した状態での運転を厳しく禁止しており、違反者には免許の停止・取消、罰金や懲役といった厳しい罰則が科されます。

タクシー運転手にとって飲酒運転は、免許の取り消しに加え、職業を失う可能性も高い深刻な違反行為です。

タクシー会社の面接ではお酒を飲むかどうか、どのくらい飲むかなど飲酒状況を詳しく訊かれます。

また、タクシー会社に採用となっても出勤前のアルコール検査が行われることが一般的です。この検査でアルコールが残っているとわかった場合はその日の運転業務は中止となります。

また、これが繰り返されると解雇の対象となります。

また、たまに飲酒運転の末に事故を起こすタクシー運転手の報道がありますが、アルコール依存症は取り返しのつかない大事故に繋がる危険性が高い。

いずれにしろ、自分でアルコール依存と思う方はタクシー運転手の仕事は諦めるべきだと思います。

まとめ

1)視力と聴力:視力と聴力は安全運転に直結する重要な要素です。視力検査や聴力検査の基準を満たすことが求められます。

2)血圧と心臓の健康:長時間の運転に伴うリスクを管理するため、血圧と心臓の健康状態が重要です。定期的な健康診断が推奨されます。

3)糖尿病:血糖値の管理が不十分だと運転中に低血糖発作を引き起こすリスクがあるため、定期的なチェックが必要です。

4)睡眠時無呼吸症候群(SAS):SASは日中の眠気や集中力の低下を引き起こし、事故のリスクを高めます。適切な検査と治療が重要です。

5)アルコール依存:アルコール依存は重大な交通事故のリスクを伴い、運転業務の安全性に大きな影響を与えます。適切な対策が必要です。

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