運送業界での経験を活かし、新たなキャリアとしてタクシー運転手を考えている方へ。
このガイドでは、運送業からタクシー運転手への転職を成功させるための秘訣や、実際に転職を果たした方々の体験談を紹介します。
運送業とタクシー業界の違いや、必要な資格、スキル、そして転職のメリットとデメリットについて詳しく解説します。
この記事を通じて、あなたのキャリアチェンジがスムーズに進むようサポートします。
運送業からタクシー運転手への転職理由：メリットとデメリット
運送業からタクシー運転手への転職を考える方が増えています。その理由やメリット、デメリットについて詳しく解説します。
メリット
1．柔軟な働き方
タクシー運転手は昼勤、隔日勤、夜勤というシフト制があり、会社が希望を聞いてくれれば自分のライフスタイルに合わせた働き方が可能です。
2．歩合給で高収入を目指せる
タクシー運転手の給料は基本給と歩合給で成立していますが、努力次第で、また仕事に慣れることにより、より多くの歩合給を得ることで高収入を目指せます。
3．長期的なキャリアとなる
タクシー運転手は運転技術と健康さえあれば、年齢に関係なく長く働き続けることができます。
4．運送業に比べて体力的な負担が少ない
トラックの運転手さんと比べると、荷物の積み下ろしなどがないため体力的な負担が少ないです。
デメリット
1．収入の不安定さ
歩合給があるということは高収入を目指せる反面、収入が安定しないということになります。
2．長時間労働
隔日勤務の場合は約16時間程度の長時間労働となります。
3．安全運転のプレッシャー
荷物を運ぶ運送業と違い生身のお客様を無事に目的地までお届けする仕事なので、安全運転へのプレッシャーは大きなものです。
４．サービス業としてのプレッシャー
実車中はお客様への接客が必要となるのでサービス業の自覚が必要となります。
タクシー運転手になるための必要な資格とスキル
タクシー運転手として働くためには、いくつかの資格とスキルが必要です。
まず、基本的な資格として「普通自動車第二種運転免許」が必要です。
この免許は、乗客を有償で運ぶために必須であり、取得するためには一定の運転経験と試験に合格することが求められます。
次に、地理に関する知識も重要です。
特に都市部では、効率的に目的地に到達するために主要な道路やランドマークを把握しておくことが求められます。
最近では、GPSナビゲーションシステムが普及していますが、それでも地理的な知識は大きなアドバンテージとなります。
さらに、コミュニケーションスキルも欠かせません。
タクシー運転手は多くの乗客と接するため、丁寧で親切な対応が求められます。
乗客の要望に応じたサービスを提供することで、リピーターを増やすことができます。
また、安全運転の技術も重要です。乗客の安全を第一に考え、交通ルールを遵守しながら運転することが求められます。
特に、急ブレーキや急ハンドルを避け、スムーズな運転を心がけることが大切です。
最後に、体力と精神力も必要です。
長時間の運転や不規則な勤務時間に対応するためには、健康管理が重要です。
また、ストレスの多い状況でも冷静に対応できる精神力も求められます。
これらの資格とスキルを身につけることで、タクシー運転手として成功するための基盤を築くことができます。
タクシー運転手を目指す方は、これらのポイントをしっかりと押さえておくことが大切です。
運送業とタクシー業界の違い：働き方と収入の比較
運送業とタクシー業界にはいくつかの違いがあります。
まず、働き方についてですが、運送業では主に荷物を運ぶため、長距離運転や夜間の勤務が多くなります。
一方、タクシー運転手はシフト制で、昼勤や夜勤、隔日勤務などがあり、自分のライフスタイルに合わせた働き方が可能です。
また、仕事内容にも違いがあります。
運送業では主に貨物を運ぶため、荷物の積み下ろしや長距離運転が求められますが、タクシー運転手は乗客を安全に目的地まで運ぶことが主な仕事です。
そのため、タクシー運転手には接客スキルや地理知識が求められます。
下の表では一般的なトラック運転手の勤務形態と隔日勤務のタクシー運転手の勤務形態を比較しています。
| 項目 | トラック運転手 | タクシー運転手（隔日勤務） |
|---|---|---|
| 勤務時間 | 1日最大16時間、週に2回まで15時間を超えることが可能 | 1回の勤務で最大21時間、隔日勤務が一般的 |
| 休憩時間 | 4時間ごとに30分以上の休憩が必要 | 勤務中に適宜休憩を取る |
| 休日 | 2週間に1回の休日労働が限度 | 月に11～13回の出勤、月18～19日休み |
| 給与体系 | 基本給に加えて歩合給、車両のサイズによって変動 | 基本給に加えて歩合制、地域によって変動 |
| 必要な資格 | 中型・大型自動車免許、けん引免許など | 二種免許、地域によっては地理試験が必要 |
| 仕事内容 | 荷物の運搬、荷積み・荷降ろし | お客様の送迎、接客 |
トラック運転手とタクシー運転手の収入比較表を作成しました。
タクシー運転手の収入は提供された主要都市のデータを参考にし、トラック運転手の収入は一般的な統計データを基に推定しています。
| 職種 | 月収（概算） | 年収（概算） | 特徴 |
|---|---|---|---|
| トラック運転手 | 25万円 ~ 40万円 | 300万円 ~ 480万円 | ・基本給+残業代の構成が一般的・長距離運転手はより高収入の傾向・経験や資格で昇給の可能性あり |
| タクシー運転手（大都市） | 28万円 ~ 50万円 | 336万円 ~ 600万円 | ・基本給+歩合給の構成・繁忙期や努力次第で高収入の可能性・都市部ほど収入が高い傾向 |
| タクシー運転手（地方都市） | 23万円 ~ 38万円 | 276万円 ~ 456万円 | ・大都市より若干低め・地域の経済状況に影響される・観光地などは季節変動が大きい |
注意点：
- これらの数字は平均的な範囲を示しており、個人や会社、地域によって大きく異なる場合があります。
- タクシー運転手の収入は歩合給の影響が大きく、個人の努力や勤務時間によって変動します。
- トラック運転手の収入は、運送する貨物の種類、運転距離、勤務形態などによって異なります。
- 両職種とも、経験や保有する資格によって収入が上昇する可能性があります。
- この表は一般的な傾向を示すものであり、実際の収入は様々な要因によって変動することにご留意ください。
これらの違いを理解し、自分に合った働き方や収入の目標を考えることが、転職を成功させるための第一歩です。
合わせて読みたい記事:タクシー運転手の勤務形態について現役タクシー乗務員が解説
転職成功者の体験談：運送業からタクシー運転手への道
トラック運転手をやっていた人がタクシー運転手になりたいと思う理由はいくつかありますが、代表的な理由は以下のようなものでしょう。
1．体力的な負担：トラック運転手は長時間の運転や重い荷物の積み下ろしが多く、体力的に厳しいことが多いです。タクシー運転手は、比較的軽い運転業務が中心で、体力的な負担が少ない。
2．年齢的な問題：上の問題に類することですが、60代ともなれば体力的な負担が大きいトラック運転手の仕事に将来的な不安を覚える。タクシー運転手は高齢になっても可能。
3．家族的な問題：トラック運転手の場合は家を空けることが多く家族と過ごす時間が少ない。タクシー運転手は基本的に毎日自宅からの通勤となり、家族との時間が確保できる。
こういった背景のなかで、私が勤める福岡市のタクシー会社に入社された元トラック運転手の人の例を二つ紹介します。
佐川急便と業務委託契約をしていた藤木さん64歳の場合
藤木さんは私の自宅マンションに荷物を届ける仕事をされていました。
何度も顔を見るうちに親しくなり仕事のことをお聞きすると、やはり年齢的に荷物をお届けする仕事はキツイとのこと。
また、失礼ながら収入を訊くと、早朝から夜9時近くまで働き詰めで月収20万円あるかないか。
契約上、車の整備や補修なども自腹でしなければならないとのことでした。
それで、私が勤めるタクシー会社への転職をお勧めすると大変に興味を持たれ、面接→二種免許取得→研修をいう流れを経て、現在は新米タクシー運転手として頑張っています。
ご本人曰く、タクシー運転手に転職してよかったのは「業務委託契約のトラック運転手（個人事業主）では保証も少なく、年齢的にこの先の体力気力に限界を感じていたが、実質定年のないタクシー運転手になれて将来が明るくなった」とのこと。
藤木さんは、私と同様に、年齢的に正社員採用ではなく嘱託となりましたが、嘱託社員でも正社員と同じような待遇をしてくれる会社に就職できたことを喜んでいます。
私が個人的に声を掛けたのはこの藤木さんだけですが、ご本人から感謝されることはとても嬉しいことです。
大手運送会社の長距離トラック運転手だった田上さん58歳の場合
こちらはハローワークの求人案内から私が勤めるタクシー会社に転職を希望されたようです。
事情を聞くと、ご両親が高齢の奥様が里である福岡市でご両親の面倒を見たいと希望され、長距離トラック運転手の仕事を辞めてそれまで住んでいた大阪を離れる決断をしたとのこと。
また、長距離トラック運転手の仕事は給料も良かった（月収37万円ほど）けれど、やはり家を空けることが多く家族との時間が十分に取れない悩みはあったとのこと。
田上さんの場合は、大型二種免許を持たれていたので改めて普通二種免許を取得する必要はありませんでした。
面接→研修と順調に進みすぐにタクシー運転手としてデビューとなりましたが、ご本人にとっては「毎日会社に通勤して毎晩家族と過ごせるライフスタイルが新鮮で嬉しい」とのことです。
何より、実家の近くに住んで高齢のご両親の面倒を見ることができるようになった奥様はとても喜んでおられるとのことで、そういった意味でも田上さんのタクシー運転手への転職は成功だったかと思います。
タクシー運転手としてのキャリアアップの可能性と将来性
タクシー運転手は単なる運転の仕事ではなく、様々なキャリアアップの可能性を秘めています。
まず、経験を積むことで介護タクシーや観光タクシーの運転手として専門性を高められます。
これにより、より高い収入や特別なサービスを提供する機会が増えます。
また、優秀な運転手は管理職への道も開かれています。特に、運行管理者試験に合格することで、管理職への道が開かれます。
配車係や営業所長など、運転以外の業務でキャリアを積むことも可能です。さらに、教育担当として新人の指導に携わる道もあります。
独立志向の強い方にとっては、個人タクシーの開業も魅力的な選択肢です。自身でビジネスを運営し、より自由度の高い働き方を実現できます。
技術の進歩に伴い、タクシー業界でもデジタル化が進んでいます。配車アプリやキャッシュレス決済の普及により、ITスキルを身につけることでキャリアの幅が広がる可能性があります。
将来性としては、高齢化社会の進展に伴い、移動支援サービスの需要が増加すると予想されます。また、観光客の増加に伴い、外国語対応できる運転手の需要も高まるでしょう。
このように、タクシー運転手としてのキャリアは、個人の適性や志向に応じて様々な方向に発展させることができ、社会のニーズに合わせて進化し続ける可能性を秘めています。
まとめ
- 転職の理由：柔軟な働き方、高収入の可能性、長期的キャリア、体力的負担の軽減。
- デメリット：収入の不安定さ、長時間労働、安全運転と接客のプレッシャー。
- 必要な資格とスキル：普通自動車第二種運転免許、地理知識、コミュニケーション能力、安全運転技術。
- 運送業とタクシー業界の違い：勤務形態、仕事内容、求められるスキルの違い。
- 転職成功者の体験談：体力的負担の軽減、家族との時間確保、将来の安定性などが転職の動機。
- キャリアアップの可能性：高級タクシーや観光タクシーへの特化、管理職への昇進、個人タクシー開業。
- 将来性：高齢化社会による需要増加、外国語対応の必要性、技術革新への適応。
総じて、この記事では運送業からタクシー運転手への転職を検討している人々に、現実的な視点と将来的な可能性を提供しています。
