こんにちは。今年71歳となり、現役タクシードライバー歴8年目となったヤヌスです。
「働くと年金が減るから、今月はもう上がりにするよ」
洗車場で、そんな風に苦笑いしながらハンドルを置く同僚を、私は何人も見てきました。
実際、私の周りでも“月の売上を意図的に抑えている”ドライバーは珍しくありません。せっかく稼いでも年金をカットされるのは、プロとしてやりきれない気持ちになりますよね。
そんな中、2026年4月から「在職老齢年金」のルールが見直され、減額基準が現在の51万円から「65万円」へと引き上げられます。
一見すると「働き損がなくなった!」と喜べる内容に見えますが、現場の感覚で言えば、それは少し違います。結論から言えば、この改正は「壁がなくなった」のではなく「上にズレただけ」です。
今回は、この制度変更の本当の意味と、損をする人・得をする人の違いを、現役ドライバーの視点で解説します。
この記事でわかること:
- ✅ 2026年の改正点:基準額が「51万円→65万円」へ。何が変わる?
- ✅ 「壁」の正体:なぜ「働き損」が完全には消えないのか
- ✅ 現場のリアル:タクシードライバーが陥りやすい「調整の罠」
- ✅ ヤヌス流の結論:制度に振り回されない「攻めと守りの設計」
結論|在職老齢年金は「壁が動いただけ」
今回の改正で、年金と給与の合計が「月65万円」までなら、年金が全額支給されるようになります。これは確かに前進です。
しかし、忘れてはいけないのは「65万円を超えた分は、やっぱり半分カットされる」というルール自体は変わっていないことです。
つまり、制度の本質は何も変わっていません。ただ単に、これまで51万円の場所にあったハードルが、少し高い65万円の場所に移動しただけ。ハードルそのものは、依然としてそこに存在し続けているのです。
なぜ「働き損」は完全にはなくならないのか
「65万円まで大丈夫なら安心だ」と、何も考えずに稼ぎすぎるのは禁物です。なぜなら、以下の2つのリスクが残っているからです。
1. 超過分の2分の1が減額される構造
例えば、売上が好調で合計額が70万円になった場合、超過した5万円の半分(2.5万円)は年金から差し引かれます。汗水たらして稼いだ分が、スッと削られる感覚は今までと同じです。
2. 税金と社会保険料の負担
額面が増えれば、当然所得税や住民税、社会保険料も上がります。年金のカット分と合わせると、「働いた時間の割に手残りが増えない」という脱力感に襲われることになります。
現場のリアル|実際に「調整している人」の苦悩
タクシーの現場では、常にこの「壁」との戦いがあります。
「あと3万稼いだらラインを超えちゃうから、明日は公休にするよ」
こうした就業調整は、個人の自由ではありますが、会社にとっても、社会にとっても、そして何より「もっと稼ぎたい」という本人の意欲にとっても、大きな損失だと私は感じています。
では、この違いはどこで分かれるのでしょうか?
同じ働き方でも「得する人・損する人」が分かれる理由
この差は、たった一つの「理解しているかどうか」で決まります。
得する人:月収がもともと高く、65万円のラインギリギリで安定して稼げる「トップ層」。ラインを理解した上でコントロールできている人です。
損する人:何も知らずに全力で働き、結果的にラインを「中途半端」に超えてしまう人。頑張った分だけ手取りが伸びず、最も損をしやすいタイプです。
ヤヌス流|損をしないための考え方
71歳の現役ドライバーとして私が思うのは、「制度に自分の人生を合わせるな」ということです。
損をしないための設計は、極めてシンプルです。
- 【攻めの設計】:減額なんて気にせず、限界まで稼ぎ抜く。カットされる分を圧倒的に上回る売上を出せば、それが一番の正解です。
- 【守りの設計】:自分の時間を大切にし、きっちりライン内で収める。休息や趣味を優先し、賢く満額受給を目指す。
一番もったいないのは、「知らずに働いて、気づいたら減らされていた」という無計画な状態です。
まとめ|「壁を知っている人」だけが得をする
2026年4月の改正は、私たち高齢ドライバーにとって「選択肢」を広げてくれるものではあります。しかし、国が用意してくれたのは「少し高い壁」であって、平坦な道ではありません。
「通るかどうか」でビクビクする車検と同じで、年金も「引かれるかどうか」で一喜一憂するのではなく、最初から「自分はどう働くか」という設計図を持ってハンドルを握ることが大切です。
知って設計する人だけが、本当の意味で報われる。私はこれからも、そう信じて夜の福岡を走り続けます。
