こんにちは、現役ドライバー歴7年、70歳のヤヌスです。
秋田や新潟など全国的にクマ被害が深刻化する中、ニュースで「緊急銃猟(きんきゅうじゅうりょう)」という言葉が頻繁に聞かれるようになりました。これは、従来の規制では対応が難しかった市街地に出没したクマを、自治体の判断でいち早く銃で駆除するための、2025年9月から始まったばかりの新制度です。
新潟県魚沼市や秋田県横手市など、既にこの緊急銃猟によるクマ駆除が実施されており、その実効性に注目が集まっています。
しかし、「市街地で銃を使う」となると、私たちドライバーにとっては「交通規制は?」「危険なエリアは?」といった新たな懸念も生じます。この記事では、この緊急銃猟の仕組みと、プロドライバーとして知っておくべき安全確保のポイントを解説します。
この記事でわかること(緊急銃猟の要点):
- ・「緊急銃猟」が従来の駆除と決定的に違う点
- ・市町村長が発砲を決めるための厳格な4つの条件
- ・銃猟実施時にドライバーが遭遇する交通規制や立ち入り制限のリスク
1. 「緊急銃猟」とは?新制度が設けられた背景
緊急銃猟制度は、近年のクマの「人慣れ」と「市街地への侵入」という新たな脅威に対応するために、鳥獣保護管理法が改正されて導入されました。
1-1. 従来の駆除の限界
これまでの駆除は、主に以下の問題点がありました。
- 時間的制約:人の生命に「現に差し迫った危険がある」場合に限定され、警察官の発砲以外は、駆除の判断に時間がかかりすぎ、被害が拡大する恐れがありました。
- 判断主体の分散:環境省、都道府県、警察、猟友会など、判断主体が分散し、連携が遅れる問題がありました。
1-2. 新制度のポイント:市町村長の判断
緊急銃猟制度では、地域の実情を最も把握している市町村長が主導し、警察と連携して駆除を決定できるようになった点が最大のポイントです。これにより、迅速な対応が可能となりました。
- 迅速性:警察官による発砲基準よりも早い段階で、人の日常生活圏にいるクマの駆除が可能になります。
2. 市街地での発砲を決める「4つの条件」
この制度の実施は、市街地で銃を使うという重大な行為であるため、環境省によって以下の4つの厳格な条件が定められています。これらの条件がすべて満たされた場合にのみ、発砲が許可されます。
2-1. 4つの実施条件
- 日常生活圏への侵入:クマ・イノシシが住居、道路、商業施設などの人の日常生活圏に侵入している、またはその恐れが大きい場合。
- 緊急性の必要:人への危害を防止するための措置が緊急に必要である場合。
- 銃猟以外の困難性:箱わな設置や追い払いなどの銃猟以外の方法では、的確かつ迅速な捕獲が難しいと判断される場合。
- 危害の恐れがない:銃猟の実施によって、地域住民などに銃器等による危害が及ぶ恐れがないよう、安全確保措置が講じられる場合。(特に重要)
これらのうち、特に4番目の「危害の恐れがない」という条件を満たすために、市や警察は広範囲にわたる安全確保措置を講じる必要が出てきます。
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3. タクシードライバーが知っておくべき緊急銃猟時のリスク
私たちは、市街地のあらゆる場所を走行し、乗降を行うプロです。緊急銃猟が実施される際の「安全確保措置」は、私たちにとって運行上の大きなリスクとなり得ます。
3-1. 突発的な「交通規制エリア」の発生
緊急銃猟は、クマが移動しないよう膠着状態にあるときに実施されることが多いため、突発的に、狭いエリアで交通規制が行われます。
- 立入制限エリア:発砲の可能性がある現場の周辺は、銃弾が届く恐れのある範囲(立入制限エリア)が設定され、一般車両の侵入が厳しく制限・禁止されます。
- 迂回ルートの判断:業務中に規制エリアに遭遇した場合、お客様を乗せていれば迅速な迂回ルートの判断が求められます。警察や市からの広報情報(防災無線、広報車など)に注意を払う必要があります。
3-2. 法制度を前提とした「自己防衛」の重要性
緊急銃猟制度ができたとはいえ、クマ被害の根本解決には至っていません。私たちは、危険な状況を回避する運行計画と常に万全の自己防衛が不可欠です。
- 運行リスクの再評価:クマの出没情報があるエリアでの深夜・早朝の休憩や、人気の少ない場所での乗降には、特に警戒を強めるべきです。
- 警笛の利用:万が一クマに遭遇した場合、警笛(クラクション)を鳴らすなど、大きな音で威嚇・撃退を試みてください。
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🚨 まとめ:新制度を理解し、安全運行に活かす
緊急銃猟制度は、行政が人命を守るための大きな一歩ですが、同時に私たちドライバーに突発的な運行リスクをもたらします。
この制度の仕組みと、銃猟が行われる際の安全確保措置(交通規制など)を正しく理解し、最新の出没情報と照らし合わせながら、冷静な判断で安全運行に役立てることが、プロとしての責務です。
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