「雇われ」から「自由な経営者」へ:現役プロが語る個人タクシー開業の真実と『事故リスクマネジメント』

個人タクシー開業の自由と責任 タクシードライバーのライフスタイル

​こんにちは、現役タクシードライバー歴7年、70歳のヤヌスです。

​タクシー業界でキャリアを積む多くのドライバーにとって、「個人タクシーの開業」は一つの大きな夢です。それは、会社のしがらみから解放され、**自分の裁量で収入も時間も自由にコントロールできる「自由な経営者」**になることを意味します。

​しかし、その輝かしい自由の裏側には、すべてを自分で背負う「自己責任」という厳しい現実が隠れています。特に、事故や病気に対するリスクマネジメントは、会社員時代とは比べ物にならないほど重要になります。

​この記事では、私が現場で見てきた個人タクシー開業の「夢」と「現実」を包み隠さずお話しします。そして、自由な経営者として成功するために必須の「事故リスクマネジメント」、すなわち保険戦略について、具体的な指針を提示します。

この記事でわかること:

  • 個人タクシー開業の最大のメリットと、収入の現実
  • 自由な働き方の裏側にある病気(SAS)と事故の自己責任リスク
  • 個人経営者にとって「命綱」となる車両保険と弁護士特約の重要性
  • 会社とは違う車両や保険等級を「資産」として守るためのプロの戦略

​🚀 雇われから脱却!個人タクシー開業のメリットと収入の現実

​個人タクシーの最大の魅力は、なんといっても**「自由な働き方」と「収入の青天井」**です。

​夢の生活:時間・収入・定年の自由

時間と場所の自由: どこで、いつ営業するかは全てあなたの自由です。最も稼げる曜日や時間帯を自分で見極め、効率的な働き方ができます。

定年がない: 健康で免許があれば、70歳、80歳になっても働き続けることができます。これは、老後の経済的安定に直結します。

収入の青天井: 会社の取り分がないため、売上はそのままあなたの収入源になります。努力と工夫次第で、会社員時代の数倍の収入を得ることも可能です。

​収入の現実:青天井の裏にある経費の壁

​一方で、会社のサポートがなくなる分、すべての経費(ガソリン代、車両の維持費、税金、そして保険料)は自己負担となります。特に、車両が故障したり、事故を起こしたりした際の費用は、すべてあなたの**「経営リスク」**となるのです。

​⚠️ 自由な働き方の裏側にある「病気と事故の自己責任リスク」

​会社員時代、事故や病気の際の「セーフティネット」は会社が提供してくれていました。しかし、個人タクシーはあなたが病気になれば、売り上げはゼロです。

​1. 「病気の管理」は「経営の安定」に直結する

​会社員であれば、居眠り事故のリスクがある同僚は**会社が職務変更(昼勤や車種変更)という形でリスクマネジメントを行います。しかし個人タクシーは、あなたが睡眠時無呼吸症候群(SAS)**などの病気を抱えていても、誰も止めてくれません。

プロの対策: 自身の健康状態の管理は、そのまま**「売り上げを維持する経営戦略」**です。少しでも異常を感じたら、すぐに専門医に相談することが、運転資格と収入を守る最重要事項となります。

​【深掘りリンク】 居眠りが原因の事故は、あなたの保険に致命的な影響を与えます。

関連記事:深夜の運転で眠気に勝てない!現役プロが教える「居眠り事故」と睡眠時無呼吸症候群(SAS)の『重過失』認定リスク

​2. 「車両」と「保険等級」を守るプロの戦略

​個人タクシーの車両は、そのままあなたの**「商売道具」**です。事故で使えなくなれば、収入が途絶えます。

​車両保険は必須: 事故を起こして修理に時間がかかれば、その間の収入はゼロです。車両保険は、単なる車の保険ではなく、**「収入補償保険」**として必須です。

等級は最高の資産: 会社員時代の等級をしっかりと引き継ぎ、20等級を維持し続けることが、長期的な経費削減の鍵になります。一度等級が下がると、数年にわたる保険料の割増しは経営を圧迫します。

​【深掘りリンク】 免許返納や等級管理の裏技は、個人経営者にとって必須の知識です。

関連記事:免許返納したら自動車保険はどうなる?70歳ベテランタクシー運転手が教える『保険料節約術と空白期間の盲点』

​⚔️ 個人タクシーにとって「命綱」となる保険戦略

​個人タクシーの保険は、会社員のように「会社の補償があるから大丈夫」とはいきません。特に以下の2つの特約は、あなたの経営を守る**「命綱」**です。

​1. 「弁護士特約」は交渉のコストパフォーマンス最高の武器

​個人タクシーの事故は、会社員時代よりも交渉が複雑化しやすいです。なぜなら、あなたが事故で休業すれば**「休業補償」**が発生するため、相手方の保険会社は過失割合の争いを激化させるからです。

プロの自衛: 弁護士特約に加入していれば、わずかな費用で、あなたの休業補償を含むすべての交渉を、保険会社の利害に縛られない専門家である弁護士に一任できます。これは、時間とストレスを節約し、本業に集中するための経営判断です。

​【深掘りリンク】 弁護士特約は、もらい事故で費用倒れを防ぐ唯一の手段です。

関連記事:個人タクシー経営者必見!『もらい事故』で費用倒れを防ぐ弁護士特約の賢い活用法

​2. 「対物超過特約」で高額修理リスクに備える

​EV車のような高額修理費用が発生しやすい車との事故の場合、相手の車の時価額を超えた修理費用(対物超過)を補償する**「対物超過特約」**は必須です。個人タクシー経営者として、高額な賠償責任で信用を失うわけにはいきません。

対物超過特約とは、事故で相手の車などに損害を与えた際、その損害額が相手の車の時価額を超えても、その差額(超過分)を補償する特約です。特に、高額な修理が必要なEV車などとの事故で、相手の賠償額が高額化し、示談交渉が難航するリスクを回避するために、個人経営者にとって必須の特約です。

​💡 まとめ:自由とは「すべて自己責任」を理解すること

​個人タクシーの開業は、確かに自由で夢のある選択肢です。しかし、その夢を継続するためには、事故や病気に対するリスクを徹底的にマネジメントできる能力が必要です。

健康管理: SASなどのリスクを把握し、病気が経営リスクに直結することを理解しましょう。

保険戦略: 車両保険と弁護士特約は、あなたの時間と収入を守る「必要経費」です。

​「自己責任」の裏にあるリスクを知り、それを保険という武器で管理できる者だけが、個人タクシーの自由を享受し、長く成功し続けることができます。

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