こんにちは。70歳、現役タクシードライバー歴7年のヤヌスです。
信号待ちの列をすり抜けていくバイク。左側の路側帯を走り抜けてくるバイク。停止線を越えて、当たり前のように前に出てくるバイク。
どれも、それ自体が即「事故」というわけではありません。しかし、私たち仕事車のドライバーにとっては、「いつ大事故に発展してもおかしくない危うい瞬間」の連続です。
この記事では、ニュースやSNSの表面的な批判ではなく、「ドライバーの視界からはどう見えているのか」という現場の現実をもとに、事故を回避するための考え方を整理します。
これはバイクを責めるための記事ではありません。同じ道路を共有する仲間として、互いの「死角」を知り、悲しい事故を一台でも減らすための願いを込めて書いています。
- ドライバーが「すり抜けバイク」を本当に怖いと感じる物理的な理由
- 路側帯走行がなぜ「見えない・聞こえない」絶望的な死角になるのか
- 停止線超過が、大型車やタクシーにとって致命的になるワケ
- 事故を未然に防ぐために、ライダーに知っておいてほしい「視点」
この記事で伝えたい結論
バイクの動きそのものの是非より、「ドライバーからどう見えているか」を知ることこそが、事故の分かれ道になります。悪意がなくても、見えていなければ事故は起きてしまうのです。
タクシー運転手が「特に怖い」と感じるバイクの3大行動
① すり抜け|ミラーから「消える」瞬間が最も危ない
ライダーにとっては「見えている」かもしれませんが、ドライバー側には、ミラーにも目視にも映らない完全な死角が存在します。特に車線変更や発進の瞬間、その死角から現れるバイクは、心臓が止まるほど恐ろしいものです。
② 路側帯走行|「確認対象外」という恐怖
本来、車が走らない路側帯は、ドライバーの意識から外れやすくなります。特にエンジン音の大きい大型車の横を路側帯ですり抜ける行為は、ドライバーには「見えない・聞こえない」状態であり、回避のしようがありません。
③ 停止線超過|「数十センチ」が仕事車の進路を塞ぐ
大型車両やバス、そしてタクシーが右左折する際には、一定のスペース(内輪差・外輪差)が必要です。停止線を越えて前に出たバイク一台のせいで、車が曲がれず、交差点全体が麻痺したり、接触のリスクが跳ね上がったりします。
なぜ「悪気がなくても」事故につながるのか
ドライバーは常に360度全方向を凝視することはできません。特に私たちプロのドライバーは、お客様の安全を第一に考え、急ブレーキや急ハンドルを極力避ける運転をしています。その「想定外」の動きが、回避不能な事態を招くのです。
現場で実践しているヤヌス流「事故回避の考え方」
私自身、信号待ちから発進した瞬間、左ミラーには何も映っていないのに、ドア横をかすめるようにバイクが現れ、思わずブレーキを踏んだことがあります。
あの一瞬は、何年運転していても慣れるものではありません。
私は日々、「バイクは来るかもしれない」ではなく「来ている」と想定して運転しています。鏡を見るだけでなく、周囲の「気配」を感じ取る。それでも、予測不能なスピードで飛び込んでくる動きだけは、防ぎようがありません。
タクシー運転手から見た「バイクの死角」イメージ
※あくまでイメージ図です。車種やミラー形状により死角の範囲は変わります。
進行方向 →
┌───────────── 道路 ─────────────┐
│ │
│ 【A】前方死角 │
│ (ボンネット直近) │
│ │
│ │
【B】 バイク バイク 【C】
左後方死角(ミラー外側付近) 右後方死角(ミラー外側付近)
│ │
│ │
└───────┬───────────┬───────┘
│ タクシー │
│ 上から │
└───────────┘
【D】
すぐ横・斜め横の死角
| 記号 | 位置 | バイクが消える理由 |
|---|---|---|
| A | 車両のすぐ前(ボンネット直近) | 座席位置が高く、近すぎるバイクはフロントガラスから見下ろせず、完全に見えないことがある。 |
| B | 左後方ミラーの外側〜やや後ろ | 左ミラーの死角+ピラー(柱)で隠れやすく、すり抜け中のバイクが一瞬「消える」。 |
| C | 右後方ミラーの外側〜やや後ろ | 車線変更時に最も怖いゾーン。ミラーにも目視にも入らない角度が存在する。 |
| D | 車体のすぐ横・斜め横 | 窓枠やピラーで遮られ、首を振っても瞬間的に見えないことがある。路側帯走行バイクが入りやすい位置。 |
バイク側に伝えたい、たった一つの意識
ルールや法律の前に、「自分は相手から見えていないかもしれない」。その意識を一つ持つだけで、車間距離や速度、すり抜けの判断は劇的に変わります。それは結果として、あなた自身の命を守ることに直結します。
私は今日も、誰かを責めるためではなく、無事に家へ帰るためにハンドルを握っています。それは、バイクも車も同じはずです。
まとめ|事故は「起きる前」がすべて
事故は一瞬、後悔は一生です。同じ道路を走る者同士、ほんの少しの想像力を持って、互いに安全に目的地へ帰りましょう。
