こんにちは。70歳、タクシー乗務歴7年の現役ドライバー・ヤヌスです。
冬になると、「寒さでサイドブレーキが凍るらしい」「最新の電動パーキングブレーキは大丈夫なのか?」といった不安の声を耳にすることが増えます。
結論から言うと、条件が揃えば、サイドブレーキは電動・手動を問わず本当に凍結します。
私の相棒である「73万km超えの車両」のような多走行車や経年車は、ワイヤー保護パーツの劣化等により、さらにリスクが高まる傾向にあります。
この記事では、取扱説明書だけでは分かりにくい「実際の現場ではどう判断すべきか」を、タクシーの実務目線で詳しく解説します。
- サイドブレーキ(電動含む)が凍結する2つの必須条件
- 凍結したときに「絶対にやってはいけない」3つの行動
- タクシー現場で最優先されるプロの安全判断基準
- トラブル時に自分と車両、そして信用を守るための基本姿勢
サイドブレーキは本当に凍るのか?【結論】
結論から言うと、サイドブレーキの凍結は決して珍しい話ではありません。
特に寒冷地や雪道を走行した後の駐車では、電動パーキングブレーキであっても解除不能に陥るリスクが常に付きまといます。
サイドブレーキが凍結する2つの条件
① 気温が氷点下(目安はマイナス10℃以下)であること
一般的にはマイナス10℃が一つの分かれ目と言われますが、風通しの良い場所や橋の上などでは、それ以上の気温でも凍結が始まることがあります。
② 作動部に「水分」が付着していること
ここが最も重要です。雪道を走った後のシャーベット状の雪、洗車直後の水分、雨天走行後の湿気などがブレーキ機構に入り込み、それが冷やされることで「ロック」がかかります。
電動パーキングブレーキでも安心できない理由
近年の車両はワイヤーが保護され、構造は大幅に改善されています。しかし、ブレーキパッドそのものがディスクに凍り付いたり、電動アクチュエーター部分に不具合が出れば、手動以上に解除が困難になるケースもあります。
凍結したときに絶対やってはいけない行動
- 無理に発進する: ブレーキを引きずったまま走行すると、過熱による火災やハブベアリングの破損を招きます。
- 力任せに操作を繰り返す: 電動・手動問わず、内部機構を破損させる原因になります。
- 熱湯をかける: 急激な温度変化で金属やゴムが割れる恐れがあります。使うなら必ず「ぬるま湯」です。
以下は凍結条件とNG行動の一覧です。
| 分類 | 内容 |
|---|---|
| 凍結条件① | 気温が氷点下(目安:−10℃以下)。橋の上や風の強い場所ではそれ以上でも凍結することがある。 |
| 凍結条件② | 作動部に水分が付着している(雪道走行後のシャーベット、洗車直後の水分、雨天後の湿気など)。 |
| NG行動① | 無理に発進する(ブレーキ引きずり → 過熱・火災・ハブベアリング破損の危険)。 |
| NG行動② | 力任せに操作を繰り返す(電動・手動問わず内部機構を破損する原因)。 |
| NG行動③ | 熱湯をかける(急激な温度差で金属・ゴムが割れる恐れ)。使うなら必ず「ぬるま湯」。 |
タクシー現場で最優先される「安全判断」とは
私たちプロの現場では、「何とかして動かす」ことよりも「安全に営業できる状態か」を真っ先に考えます。
万が一、中途半端に解除された状態で出庫し、お客様をお乗せしている最中に異音や異臭が発生すれば、それは即「重大な運行トラブル」となり、会社の信用を著しく傷つけます。
結論|冬の駐車は「動かさない勇気」も仕事のうち
サイドブレーキの凍結は、防げないケースもあります。しかし、無理に動かさず専門家に任せる「判断」ができれば、被害は最小限で済みます。
タクシードライバーの方も、一般ドライバーの方も、冬場は「無理をしないこと」が最大の安全対策であり、プロとしての仕事です。
