こんにちは。70歳、タクシー乗務歴7年の現役ドライバー・ヤヌスです。
先日、私の相棒である走行距離73万km超えの車両をご紹介しましたが、これほど長く、そして安全に走り続けるためには、高度な整備だけでなく日々の「小さな習慣」が欠かせません。
その筆頭が、タイヤの空気圧管理です。実はこれ、単なるメンテナンスではなく、理不尽なトラブルから身を守る最強の「自己防衛」でもあります。
この記事でわかること:
- 空気圧不足が引き起こす、JAF出動上位のトラブル実態
- 「自然に抜ける」空気圧が燃費と車両寿命に与える衝撃的なダメージ
- 0対100の被害事故を経験して分かった、完璧な点検が自分を守る理由
- 現役プロが実践する、空気圧管理を「後回しにしない」考え方
実は多い「空気圧不足」が原因のトラブル
JAFの出動理由において、タイヤトラブルは常に上位です。特に高速道路でのトラブルは全体の約4割を占め、その多くが空気圧不足に起因しています。
- 空気圧が低い → タイヤの変形が大きくなる
- 変形が増える → 走行中の発熱が増加(スタンディングウェーブ現象など)
- 発熱が続く → パンク・バーストといった重大事故へ
これは一般車だけでなく、毎日過酷な距離を走るタクシーにとっては死活問題です。
空気圧は「自然に抜ける」という事実
パンクしていなくても、タイヤの空気は自然に抜けていきます。一般的には1ヵ月で約5〜10%減少し、半年もすれば指定値を大きく下回ります。
「昨日まで大丈夫だったから」という過信が、実はすでにパンク寸前の危険な状態を招いていることもあるのです。
燃費悪化と車両寿命への直撃ダメージ
空気圧の低下は、財布(経費)にも直撃します。データによると、指定値より低下した場合の影響は以下の通りです。
- 30%低下: 燃費 約4.6%悪化
- 60%低下: 燃費 約12.3%悪化
走行距離が極端に長いタクシーにおいて、この燃費悪化は年間で大きな損失になります。さらに、適正でない空気圧での走行は足回り全体に負担をかけ、車両の寿命を縮める原因にもなります。
| 指定空気圧 | 運転席ドアのラベルで前後の指定値を確認する。 |
|---|---|
| 測定タイミング | 走行前の「冷間時」に測る。走行後は誤差が大きい。 |
| 点検頻度 | 最低月1回。タクシーは月2回が安心。 |
| 偏摩耗 | 外側・内側の片減りは空気圧不足のサイン。 |
| 異物チェック | 釘・金属片の刺さりを確認。刺さったままでも空気は抜け続ける。 |
| エアバルブ | ひび割れ・曲がり・キャップ紛失は空気漏れの原因。 |
0対100の被害事故を経験したからこそ言える「点検の重み」
私は私の妻が以前こちらに一切の非がない「過失割合0」の被害事故に遭い、愛車が横転するほどの衝撃を経験しました。
一方的に激突される事故は防げないかもしれません。しかし、もしその時にこちらのタイヤが整備不良だったらどうでしょうか?「被害者」であるはずのこちらに、あらぬ疑いや揚げ足取りの隙を与えてしまうことになりかねません。
日頃から空気圧を完璧に管理しておくことは、万が一の際、自分の正当性と安全を証明するための「最後のお守り」なのです。
今後について
最近では、ガソリンスタンドに行かずとも、片手で持ち運べる「充電式エアーコンプレッサー」などの便利な道具も普及しています。
今後、私の現場で実際に導入してみて「これは仲間にも勧められる」と感じたものがあれば、無駄な出費にならないものだけ、随時この記事でご紹介していこうと思います。
まとめ|空気圧管理は「小さな点検、大きな差」
タイヤの空気圧は、目に見えないからこそ軽視されがちです。しかし、そこには安全・燃費・そして自分を守るための全てが詰まっています。
タクシードライバーの方も、一般ドライバーの方も、今日このあと一度、愛車のタイヤをじっくり眺めてみてください。
