乗客が車内で転倒したら?タクシー運転手が語る保険対応と現場での注意点

乗客が車内で転倒したら 事故と保険

こんにちは。現役タクシードライバー歴7年、70歳のヤヌスです。

日々の運転の中で、最も神経を使うのが「乗客の安全管理」です。特に乗車中や降車時の転倒事故は、運転手の責任が問われる可能性があり、保険対応や示談交渉に発展することもあります。

この記事では、乗客が車内で転倒した場合の保険対応、現場での対処法、乗客心理への配慮、そして未然に防ぐための予防策まで、現場目線で深掘りしていきます。

この記事でわかること

  • 乗客が車内で転倒した場合、交通事故として扱われる条件
  • 自賠責・任意保険・営業保険の適用範囲と請求の流れ
  • 現場での正しい対応手順と証拠保全の重要性
  • 乗客心理と運転手の責任のバランス
  • 実体験から学ぶ示談交渉と保険会社とのやり取り
  • 転倒事故を未然に防ぐための予防策と声かけ術
  • タクシー運転手が加入すべき保険と補償の選び方

 

車内での転倒事故は「交通事故扱い」になるのか?

急ブレーキや急発進など、運転操作が原因で乗客が転倒した場合は、交通事故として扱われる可能性があります。自賠責保険や任意保険の対象になることもあり、事故証明があれば補償が受けられるケースもあります。

一方で、乗客自身の不注意による転倒(スマホ操作中の降車、ヒールでの乗車など)は、運転手の過失が認められないこともあり、保険適用が難しくなる場合があります。

この判断は、警察の事故証明や保険会社の調査によって左右されるため、現場対応と証拠保全が極めて重要です。

保険対応の流れ|誰が補償する?どこに請求する?

  • 自賠責保険:人身事故として認定されれば最低限の補償が可能
  • 任意保険:搭乗者傷害保険、人身傷害保険などが適用される場合あり
  • タクシー会社の営業保険:法人契約の場合、会社が対応するケースも

保険会社との交渉では、事故報告書・診断書・事故証明・ドライブレコーダー映像などが必要になります。電話だけで済ませようとすると、後日「言った言わない」のトラブルになるため、文書でのやり取りを基本としましょう。

示談交渉が発生した場合は、弁護士特約の活用も視野に入れ、冷静かつ記録重視で対応することが重要です。

現場での対応術|転倒直後にすべきこと

  • 乗客の安全確認と負傷の有無を確認
  • 必要に応じて救急車を呼ぶ
  • 警察に通報し、事故証明を取得
  • ドライブレコーダーの映像を保存
  • 可能なら音声記録も残す(ドラレコの音声機能)

「物損扱いで済ませましょう」と言われても、人身事故として記録しておくことが重要です。後日、症状が悪化した場合に備えるためです。

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乗客心理と運転手の責任|見えない圧力にどう向き合うか

乗客が転倒した場合、運転手に対して「謝罪」「補償」「誠意ある対応」を求める心理が働きます。たとえ運転手に過失がなくても、感情的なクレームやSNSでの拡散リスクがあるため、対応には慎重さが求められます。

冷静な説明と記録の提示が最も有効です。「安全運転を心がけていました」「記録を確認しましょう」といった対応が、信頼回復につながります。

実体験から学ぶ|転倒事故で揉めた事例と教訓

ある夜、同僚が乗客を繁華街で降ろした際、乗客が足元の段差に気づかず転倒。軽傷だったものの、後日「腰痛が続く」として慰謝料請求に発展しました。

保険会社は「運転操作に過失なし」と判断し、搭乗者傷害保険の定額給付のみで対応。乗客は納得せず、示談交渉が長期化。最終的にはドライブレコーダーの映像と事故証明が交渉の決め手となり、解決に至りました。

タクシー業界のルールと運転手の立場

多くのタクシー会社では、乗客対応マニュアルが存在します。転倒事故が起きた場合、社内報告書の提出や営業停止処分が課されることもあり、運転手の心理的負担は大きくなります。

私自身、事故後に「営業再開までの待機期間」が発生し、収入がゼロになった経験があります。こうした事態に備えて、休業補償特約の加入や、会社との契約内容の確認が不可欠です。

予防策|転倒事故を防ぐためにできること

  • 乗車時に「足元お気をつけください」と声かけする
  • 急ブレーキを避ける運転術を身につける
  • 車内に滑り止めマットや手すりを設置する
  • 夜間は照明を適度に点灯し、視認性を高める
  • 降車時に「段差があります」「ゆっくりどうぞ」と一言添える

こうした予防策は、事故を未然に防ぐだけでなく、乗客の安心感にもつながります。

保険選びのポイント|転倒事故に備えるには?

  • 搭乗者傷害保険:定額給付でスピーディに対応可能
  • 人身傷害保険:実損補償で医療費や慰謝料をカバー
  • 弁護士特約:示談交渉が長期化した場合に備える
  • 休業補償特約:営業停止期間の収入を補填

保険料を抑えたい場合は、団体保険やノンフリート割引を活用しましょう。私も3年無事故で20%割引を達成し、補償内容を維持しながらコストを抑えています。

まとめ|転倒事故は「備えと対応」で差がつく

乗客の転倒事故は、タクシー運転手にとって避けられないリスクのひとつです。

何より乗客への声がけなどの予防策が1番大切なことですが、同時に事故が起きた場合の行動指針をしっかりわきまえておくこと、及び正確な保険の知識と準備です。

タクシーのイラスト備えあれば憂いなし
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