タクシー業務に起こりがちな主なトラブルというものがあります。
それは、
1)目的地の確認ミス。
2)目的地までのルートのミス。
3)乗客の乗車時降車時のドア開閉の注意ミス。
4)乗客の降車時の忘れ物の確認ミス。
上の4つは日常的なタクシー業務で最も起きがちなトラブルに繋がるミスです。
この記事では、現役のタクシー乗務員である私がそういったトラブルとその回避法を解説します。
1)目的地の確認ミスとその回避法
タクシーに乗車されるお客様の目的地は
1)運転手もお客様もよく知っている場所
2)運転手はよく知っているがお客様はよく知らない場所
3)運転手はよく知らないがお客様はよく知っている場所
4)運転手もお客様もよく知らない場所
の4つです。
これを頭に入れた上でお客様の目的地の確認をすることが大切です。
目的地の確認の必要性
目的地が空港、JR駅、バスターミナル、あるいは有名なホテルや病院や野球場やライブハウスの場合は概ね目的地の確認ミスは起こりません。
しかし、タクシーの乗客の目的地が乗客の自宅、乗客のお知り合いの自宅やお知り合いとの待ち合わせ場所、あるいは乗客自身が行ったことがない場所だった場合、目的地の確認はとても重要です。
なので、そういったお客様をお乗せした場合は、タクシーを発車する前に目的地の確認を十分に行い、目的地の場所を特定することが必要となります。
目的地の確認ミスの回避法
目的地を十分に確認する必要がある場合は次の作業がトラブル回避となります。
まず、言葉でこう訊ねる。
「行ったことがある場所ですか?」
「近くに行けば場所はわかりますか?」
「間違えがないように目的地の住所を教えて頂けますか?」
目的地の住所をナビに入れることができれば、取りあえずは目的地に向かうことができます。
しかし、ナビが示すルートは必ずしも最短かつ合理的なルートとも限りません。
2)目的地までのルートのミスとその回避法
ルートミスを防ぐためにはタクシーを発車する前に「どんな道順で行きましょうか?」という言葉をお客様に投げかけることが大切です。
ここで、お客様のご存じの道順どおりに行くか、運転手にお任せとなるかが決まります。
お客様が知っているルートを走る場合
お客様がナビの助けを必要としない場合は必ず「では、行きながら道を教えていただけますか?」と確認することが重要です。
ただ、お客様が指示するルートを運転手がよくわからないケースがありますが、その場合重要なことは、わかったふりで行かないことです。知ったかぶりで行くと必ずトラブルの元になります。
お客様が言われるルートをよく知らないことを告げ「すみません、その辺の道をあまりよく知らないので行きながら指示して頂けますか?」などと正直にお伺いしましょう。
ナビのルートを走る場合
ナビに目的地の住所を入れて出発する場合は「とりあえずナビ通りに行きますが、もしご存じの道があったら遠慮なく仰ってください」とお願いしておくとお客様も安心します。
また、ナビは信頼し過ぎてはいけません。
ナビが示すルートはときどき遠回りだったり、走行がむずかしい道を走らせることがあります。
ナビの地図上にある赤い点線(直線誘導線)の直進方向とナビが選択しているルートに大きな差がないかをよく観察することがとても重要です。
また、ナビは高速道路を使ったルートを選択することがあるので、その場合は必ずお客様に高速道路を使った方がいいかどうかを確認することも重要です。
3)乗客の乗車時降車時のドア開閉の注意
目的地と目的地までのルートの確認とともに、タクシー乗車時と降車時に大切なことはドアの開閉時の確認作業です。
タクシー乗車時のドアの確認
お客様がタクシーに乗り込む時は運転手は必ず後ろを向いてお客様の乗車を確認しなければなりません。
また、お客様が座席に腰掛けて足を車内に入れているかどうかを確認しなければなりません。
中途半端にドアを閉めるとお客様の足がドアに挟まれるという事故がかなりの頻度で発生しています。
なので、ドアを閉める時は必ず「ドアを閉めていいですか?」とか「足元は大丈夫ですか?」といった言葉を投げかけるようにします。
タクシー降車時のドアの確認
さて、無事に目的地に到着することができたらタクシー料金の精算をします。
そして、お客様を車から降ろすことになりますが、自転車やバイクがスピードを出して迫ってきた場合は安易にドアを開けると事故に繋がります。
なので、ドアを開ける時はフェンダーミラーやサイドミラーを見ると同時に必ず後方を目視確認することです。
また、お客様が勝手にドアを開けることのないように「ドアは私が開けるまでお待ち下さいね」と声を掛けておくことも安全策となります。
特に、外国人の乗客の場合は自分でドアを開けがちなので、次の英語表現を覚えておきましょう。
「ドアは私にお任せください。」
英語 → “Let me get the door for you.” (レッミー ゲッタ ドアーフォーユー)
または、より簡潔に「ドアは私が開けます。」
英語 → “I’ll get the door.” (アィル ゲッタ ドアー)
4)乗客の降車時の忘れ物の確認
タクシー車内で忘れ物が発生した時の手間暇
タクシー車内で乗客が忘れ物をし、しばらく経って運転手が気づく。あるいは、乗客からタクシー会社へ問い合わせがあり忘れ物の存在に気づく。
現役のタクシー乗務員である私もそんな経験が数度あります。
その場合の対応は二種類となります。
① お客様からの問い合わせがない場合は近くの交番に届ける。
② お客様からの問い合わせがある場合はお届け場所まで届ける。
いずれにしろ、運収とは関係のない手間暇と時間が掛かり労働時間を削ることになります。
また、忘れ物トップ3でもある携帯電話や財布や鍵などの紛失はお客様にとって大きな心配やストレスとなります。
同時に、タクシー運転手にとっても後処理の面倒さは辛いものです。
なので、乗客がタクシーを降りる際には必ず忘れ物注意を促すことはお客様にとっても運転手にとっても極めて重要なことです。
乗客の忘れ物回避法
タクシー料金の精算を済ませた時点で忘れ物がないか確認する言葉を投げかけることを癖付けましょう。
「忘れ物はないですか?」よりも「忘れ物がないかよく見てくださいね」と言います。
さらに効果的なのは具体的な物を指摘することです。
「携帯電話とか財布とか忘れてないですか?」
こう言うと、お客様は具体的な物に注意を払うことになります。
たったこれだけの言葉かけで大きな時間を費やす忘れ物の後処理を確実に省けることになります。
また、英語が話せる外国人に「忘れ物はないですか?」はこう言います。
英語 → ’’Do you have everything with you?’’ (ドゥ- ユー ハヴ エヴリシング ウィズ ユー?)
まとめ
タクシー運転手になりたい人へのアドバイスとして、以下の点が重要です:
- 目的地の確認を徹底し、住所や場所の詳細を確実に把握する
- ルート選択時はお客様の希望を聞き、ナビに頼り過ぎない
- 乗降時はドアの開閉に細心の注意を払い、安全確認を怠らない
- 降車時に忘れ物がないか声をかけ、具体的な物を指摘する
- 外国人客への対応として、簡単な英語フレーズを覚えておく
これらの点に気をつけることで、トラブルを未然に防ぎ、安全で快適なサービスを提供できます。