2025年10月、東京海上日動火災保険が自動車保険料を平均8.5%引き上げると発表しました。これは、同年4月に続く“年2回目の値上げ”であり、業界でも異例の対応です。
背景には、以下のような要因が挙げられています:
- 事故件数の増加(特に都市部での軽微接触事故)
- EV車や高級車の修理費高騰
- 部品供給の遅延による代車費用の増加
- 人身事故の賠償額上昇
東京海上日動は「保険料収支の均衡を図るため」と説明していますが、契約者にとっては実質的な負担増となります。
この記事でわかること
- 東京海上日動の保険料値上げの背景と影響
- 契約者が実際に支払っている保険料と補償内容
- 保険料高騰時代に見直すべきポイント
- 特約の価値と費用対効果
- 今後の自動車保険の選び方
契約者のリアル|月18,000円でも安心は買えない?
筆者自身、東京海上日動の任意保険に加入しており、無過失特約・弁護士費用・搭乗者傷害・車両保険などフル装備の契約をしています。
毎月の保険料は約18,000円。事故歴はなく、ゴールド免許保持者ですが、それでもこの金額です。
「安心を買っている」と割り切ってはいるものの、今回の値上げで年間2万円以上の追加負担になる可能性があり、家計への影響は無視できません。
特に、車両保険の料率や特約の組み合わせによっては、値上げ幅がさらに大きくなるケースもあるため、契約内容の見直しが急務です。
保険料高騰の構造的背景とは?
今回の値上げは単なる一時的な調整ではなく、構造的なコスト増に起因しています。特に以下の要因が重なっています:
- EV車・高級車の増加:修理費が従来の2〜3倍になるケースも
- 部品供給の遅延:代車費用が長期化し、保険会社の負担が増加
- 人身事故の賠償額上昇:治療費・慰謝料の基準が年々上昇傾向
- ドライブレコーダー映像の普及:過失割合の争いが複雑化し、弁護士費用が増加
これらはすべて、保険会社の支払い額を押し上げる要因となり、結果として保険料の値上げにつながっています。
特約の費用対効果をどう見るか?
筆者が契約している「無過失事故特約」は、過失ゼロでも保険金が支払われるという安心感があります。特に、信号待ち中の追突や、駐車中の接触など、過失ゼロの事故は意外と多いものです。
しかし、こうした特約は保険料を押し上げる要因にもなります。以下は代表的な特約とその費用対効果の一例です:
特約名 | メリット | 注意点 |
---|---|---|
無過失事故特約 | 過失ゼロでも保険金支払い | 保険料が高め |
弁護士費用特約 | 示談交渉をプロに任せられる | 軽微な事故では使わないことも |
搭乗者傷害保険 | 同乗者の治療費をカバー | 人身傷害保険と重複する場合あり |
車両保険(一般型) | 自損・当て逃げも補償 | 保険料が大幅に上がる |
特約は「安心を買う」ものですが、使う可能性が低い特約を見直すことで保険料を抑えることも可能です。
契約見直しのポイント
保険料高騰時代において、契約内容の見直しは不可欠です。以下のポイントを参考に、保険証券を確認してみましょう:
- 車両保険のタイプ(一般型かエコノミー型か)
- 免責金額の設定(0-10万円など)
- 特約の重複(人身傷害と搭乗者傷害など)
- 年間走行距離の申告(実態と合っているか)
- 等級・事故歴・ゴールド免許割引の適用状況
保険会社によっては、契約更新時に自動で特約が追加されているケースもあるため、毎年の見直しが重要です。
今後の保険選び|“安心”と“コスト”のバランスをどう取るか
保険料が高騰する中で、契約者が取れる選択肢は以下のように整理できます:
- 補償内容を維持しつつ、保険会社を比較する(同条件での見積もり取得)
- 特約を精査し、必要最低限に絞る(費用対効果の見直し)
- 車両保険の免責金額を調整する(0万円→5万円など)
- 年間走行距離や使用目的を正確に申告する(通勤・レジャーなど)
- 代理店型からネット型への切り替えを検討する(手続き簡略化で保険料が下がる場合あり)
ただし、ネット型保険は事故対応や示談交渉のサポート体制が弱い場合もあるため、自分の運転スタイルやリスク許容度に応じて選ぶことが重要です。
他社比較のポイント
東京海上日動以外にも、以下のような保険会社が自動車保険を提供しています:
保険会社 | 特徴 | 注意点 |
---|---|---|
損保ジャパン | 事故対応の評判が高い | 特約が多く、構成が複雑 |
三井住友海上 | 法人契約に強み | 個人契約では割高になることも |
イーデザイン損保 | ネット型で保険料が安い | 事故対応は電話中心 |
ソニー損保 | 走行距離に応じた保険料設計 | 長距離運転者には割高になる場合あり |
見積もりは無料で取得できるため、同条件で複数社を比較することが、保険料の最適化につながります。
まとめ|“安心を買う”だけでは足りない時代へ
東京海上日動の年2回の保険料値上げは、契約者にとって大きな転換点です。筆者自身も、月額18,000円という高額な保険料を支払いながら、「このままでいいのか?」と自問するようになりました。
保険は「安心を買う」ものですが、その安心が“過剰”になっていないかを見直すことも、今後の保険選びでは重要です。
この記事をきっかけに、あなた自身の契約内容を確認し、必要に応じて見直しを検討してみてください。保険料高騰の時代にこそ、賢い選択と情報のアップデートが求められています。
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