こんにちは、現役ドライバー歴7年、70歳のヤヌスです。
タクシードライバーの仕事には、残念ながら強盗や暴行といった生命の危険に関わるリスクが常に存在します。冷静な状況であれば対応できても、いざ事件に遭遇するとパニックに陥り、適切な行動が取れなくなるのが人間です。
この記事は、「ドライバーの命と安全」を最優先に、事件発生時の瞬時の判断基準と、その後の警察・会社への正しい報告手順を、チェックリスト形式で解説するマニュアルです。
お客様の急病や乗車中のトラブルを含め、あらゆる緊急事態に対応できるプロの知識を身につけ、自身の身を守りましょう。このマニュアルは、安全に稼ぐための必須知識です。
この記事でわかること(緊急時の命を守る行動):
- ・強盗に遭遇した際の「三原則」と命を守る行動
- ・非常通報ボタンを押すタイミングと、その後の対応
- ・警察・会社へ報告すべき「重要な5つの情報」
- ・お客様が急病になった際の運転手の法的責任と対処法
1. 強盗・暴行に遭遇した際の「命を守る三原則」
強盗事件は、ドライバーの命に直結します。何よりも自身の安全確保を最優先してください。
1-1. 強盗遭遇時の「三原則」
強盗犯が凶器を持っている場合、抵抗は非常に危険です。
- 抵抗しない:犯人の要求に従い、冷静に対応する。金銭や財産は命に代えられないと割り切る。
- 刺激しない:大声を出したり、急な動作をしたり、犯人の目を刺激する行動は避ける。
- 命を守る:犯人が立ち去るまで、自身の安全確保を最優先にする。
1-2. 非常ボタンの使用と脱出の判断
非常通報装置は、安全に押せる状況で押すのが基本です。
- ボタンのタイミング: 犯人が要求をしている最中、または一瞬でも目を離した瞬間を狙い、目立たないように押す。
- 脱出: 犯人が気をそらした一瞬や、停車時に後部座席から離れた隙に、車を捨てて逃げることを選択肢として持つ。車や売上よりも命が優先です。
関連記事:危険から身を守る!タクシー運転手が知るべき「防犯対策」と「緊急時の心得」
2. 事件発生直後の「プロの行動チェックリスト」
事件発生から犯人逃走後の数分間の行動が、事件解決の鍵となります。
2-1. 犯人逃走直後の行動手順
犯人が去った後、パニックに陥らず、以下の手順で行動します。
- 安全な場所へ移動: 車両を安全な路肩に停車させ、エンジンを切る。
- 会社への即時報告: 会社へ電話し、「事件発生、場所、状況」を簡潔に伝える。
- 警察へ通報(110番): 会社からの指示を待たず、直ちに警察へ通報する。
- 車両・現場保全: 犯人が触れた可能性のある場所(ドアノブ、シートなど)をむやみに触らず、警察の鑑識を待つ。
2-2. 警察・会社へ報告すべき「重要な5つの情報」
記憶が鮮明なうちに、以下の情報を控えておくことが、事件解決に繋がります。
- 人相:年齢、身長、体格、服装、特に目立つ特徴(眼鏡、傷、タトゥーなど)
- 車種・移動手段:逃走に使用した車両(ナンバー、車種、色)または徒歩での進行方向
- 凶器:使用された凶器の種類と形状(刃物、拳銃、鈍器など)
- 犯行時間:犯行が始まった時間と終わった時間
- 発言:犯人が発した特徴的なセリフや脅し文句
3. その他の緊急事態とドライバーの法的責任
強盗以外にも、運行中に発生する緊急事態への対応を解説します。
3-1. 乗客が急病・事故を起こした場合
乗客が突然意識を失ったり、体調を崩したりした場合、ドライバーには救護義務が発生します。
- 行動:直ちに安全な場所に停車させ、119番(救急)に連絡し、会社にも状況を報告する。
- 法的責任:救護義務を怠り、お客様の命に関わる事態になった場合、重過失責任を問われる可能性があります。
3-2. 車両の故障・事故による緊急停車
運行中に車両の異常やパンクなどで緊急停車する際も、二次被害を防ぐプロの対応が必要です。
- 対応手順:ハザードランプ点灯、安全な場所への移動、停止表示板を設置、会社へ報告する。
- お客様への説明:「車両トラブルで走行できません。大変恐縮ですが、別のタクシーを手配します」と伝え、料金はメーターを停止した時点までとし、会社と相談して対応する。
🚨 まとめ:最悪の事態に備えるプロ意識
事故や事件は、いつ、どこで起きるかわかりません。しかし、プロは常に最悪の事態に備え、対応手順を頭に入れています。
強盗遭遇時は「命の安全」を最優先し、その後の冷静な「記録と報告」に徹すること。このマニュアルを定期的に確認し、ご自身の安全とキャリアを守りましょう。
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