【プロの五感で防ぐ】事故と機能不全に直結する!タクシードライバーが絶対に見落とせない「出庫前点検」最重要項目

出庫前点検の重要性❗️ タクシー乗務の現場で役立つ実務集

こんにちは。現役タクシードライバー歴7年、70歳のヤヌスです。

タクシードライバーにとって、出庫前点検は単なる義務ではなく、「営業収入と命を守る防衛線」です。しかし、点検項目は多岐にわたり、毎日すべてを完璧に行うのは困難です。

そこで本記事では、過去の現場経験に基づき、「出庫後に事故や機能不全に直結する可能性が極めて高い」、見落とし厳禁の最重要項目に絞り込み、プロの五感を活かした深掘り解説を行います。

「見る」だけでなく、「聴く」「嗅ぐ」「触る」という五感を研ぎ澄まし、わずかな「事故の予兆」を察知するチェックリストとしてご活用ください。

この記事でわかること(出庫前点検の最重要ポイント):

  • ・エンジンルームで「量」より先に確認すべき「匂いと音」の異常の兆候。
  • ・ドラレコが「録画を開始します」と合図した後にチェックすべき、証拠保全のための確認項目。
  • ・ブレーキから聞こえる「キーキー音」と「ゴリゴリ音」の危険度の違いと、出庫判断基準。

1. 走行不能・火災リスクに直結するエンジンルームの異変

エンジンルームの点検は、ボンネットを開けて「量」を確認するだけでなく、「火災や走行不能」につながる予兆を嗅ぎ分けるのがプロの仕事です。

1-1. オイル・バッテリー:「量」よりも先に「匂いと色」をチェック

エンジンオイルは、量が規定内であることはもちろん重要ですが、オイルゲージの先端についたオイルの色が黒ずみすぎていないか、そして焦げたような匂いがしないかを確認してください。焦げ臭は、オイル漏れや部品の過熱を示唆し、火災につながる危険な予兆です。

バッテリー液は、蒸発量が多い場合、充電系統に異常がある可能性を示します。また、バッテリー端子周辺の白い粉(サルフェーション)は、導通不良によるエンジン始動不能リスクを高めます。

1-2. 冷却水(LLC):漏れを示す「白いシミ」を見逃すな

オーバーヒートはタクシーの営業を即座に停止させます。冷却水のリザーバータンクの量を確認するだけでなく、ホースの継ぎ目やラジエーター周辺に、冷却水が乾いた後の粉のような白いシミがないかをチェックしてください。これは微細な漏れの証拠であり、出庫後に走行中に大きなトラブルに発展する可能性があります。

2. 事故時も安心できない!記録機器の「確実な動作」確認

ドラレコやタコグラフは、事故時にドライバーの無実を証明する「命綱」です。単なる起動音だけでなく、記録が確実に行われているかを確認する習慣をつけましょう。

2-1. ドラレコ:「録画開始」後の「SDカードの状態」確認

「録画を開始します」という合図は、単に機器が起動したことを示すだけで、SDカードが正常に作動し、記録が上書きされていないことを保証しません。SDカードが古かったり異常をきたしている場合、録画が途中で停止したり、最悪の場合、事故発生時の映像が記録できていないことがあります。

出庫前に必ず画面表示で「正常に記録中」のアイコンを確認するか、可能であれば数秒間のテスト録画を行い、SDカードの容量不足やエラーがないかをチェックする習慣をつけましょう。

2-2. メーターとタコグラフ:速度と距離の「初期動作」チェック

デジタル式のタコグラフは、正常に動作しているかの確認が疎かになりがちです。出庫直後の微速走行で、速度表示と距離計がスムーズに作動しているかを必ず確認してください。これらの記録機器の不具合は、事故時の過失割合の算定や営業時間の証明に直結します。

3. 命を預かる足回り:ブレーキとタイヤの「予兆」

乗客の安全と、車を止めるという最終責任を負うブレーキとタイヤは、最も入念にチェックすべき項目です。

3-1. ブレーキの異音:音の種類で出庫を判断する

ブレーキを踏んだ際に聞こえる異音は、以下の2種類に大別され、危険度が全く異なります。

  • キーキー音(甲高い音):ブレーキパッドの残量が少なくなっている摩耗警告音である可能性が高いです。すぐに整備士に報告が必要ですが、残量によっては慎重な運行が可能な場合もあります。
  • ゴリゴリ音(重く、金属が擦れるような音):ブレーキローター(円盤)に深刻な損傷が出ているサイン、または異物が挟まっている可能性が高いです。即座に出庫を中止し、整備を要請すべき、最も危険な音です。

3-2. タイヤ:溝の深さと「ボルトの緩み」を示すサビ

タイヤの溝や空気圧は基本ですが、ボルトの緩みを見逃してはなりません。ボルトが緩んでいると、ホイールの周辺にサビや汚れの筋が放射状についていることがあります。これは走行中にわずかに動いている証拠であり、最悪の場合、タイヤ脱落事故に繋がるため、この兆候を見つけたら絶対に運行してはなりません。

4. まとめ:整備不良は「プロの怠慢」であり「顧客への背信行為」

出庫前点検は、日々のルーティンの中で軽視されがちですが、これらは全て、重大な事故や、運行中の機能不全による営業収入の損失を防ぐための、最も費用対効果の高い防衛策です。

整備不良による事故は、「プロの怠慢」であり、お客様の命を預かる「顧客への背信行為」です。五感を研ぎ澄まし、わずかな異変も見逃さないプロ意識こそが、安全と高収入への道を切り開きます。

ただ、すべての点検をドライバー一人で完璧にこなせるわけでもありません。やはり、内勤者の協力をお願いし、またそれを強い味方として日々の点検を怠らないことが重要です。

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