2025年8月6日〜12日にかけて発生した低気圧と前線による大雨により、全国で34,438件の損害保険事故が発生しました。
日本損害保険協会の発表によると、支払い見込件数は31,790件、保険金総額約32億円にのぼります。
保険種別 | 支払件数 | 支払保険金(千円) |
---|---|---|
車両保険(商品車含む) | 16,988 | 13,029,623 |
火災保険 | 14,050 | 18,675,634 |
新種保険(傷害保険含む) | 752 | 591,255 |
合計 | 31,790 | 32,296,512 |
特に被害が大きかったのは熊本県・鹿児島県・山口県などの西日本地域。幸い、私が住む福岡市では大きな被害は免れました。
この記事でわかること
- 令和7年8月の大雨による損害保険支払い状況
- 火災保険・車両保険・傷害保険の補償範囲
- 水災特約の有無が補償に与える影響
- 契約者が見落としがちな補償の境界線
- 災害時の保険請求トラブルと対策
水災補償の有無で“支払われるかどうか”が分かれる
火災保険の中でも水災補償特約が付いているかどうかで、保険金の支払い可否が大きく分かれます。
例えば、床上浸水や土砂流入による住宅損害は、水災特約がなければ補償対象外になるケースもあります。
契約者の中には「火災保険に入っているから安心」と思っていたが、実際には水災が対象外だったという事例も多く報告されています。
車両保険は“水没”に対応できるのか?
今回の大雨では、冠水による車両の水没事故が多数発生しました。特に以下のようなケースが報告されています:
- 駐車場が冠水し、エンジンが浸水して廃車に
- 走行中に冠水路に突入し、電装系が故障
- 土砂流入で車両が押し流され、損傷・紛失
これらの事故に対しては、車両保険の「一般型」であれば補償される可能性が高いですが、「エコノミー型」では対象外になることもあります。
また、契約時に水災免責(例:10万円)が設定されている場合、保険金が減額されることもあるため、契約内容の確認が重要です。
保険請求時のトラブル事例
災害時の保険請求では、以下のようなトラブルが多く報告されています:
- 「水災特約が付いていない」と言われて保険金が支払われない
- 「床上浸水ではないので対象外」と判断される
- 「自然災害ではなく人的要因」として補償外とされる
- 写真や証拠が不十分で、損害認定が通らない
これらのトラブルを防ぐためには、契約時の補償範囲の確認と、事故後の証拠保全が不可欠です。
契約見直しのポイント
災害リスクが高まる中、損害保険の契約内容を見直すべきタイミングです。以下のポイントを参考に、保険証券を確認してみましょう:
- 火災保険に「水災特約」が付いているか
- 車両保険が「一般型」か「エコノミー型」か
- 免責金額の設定(0万円〜10万円など)
- 建物の構造区分(木造・鉄骨・RCなど)による保険料の違い
- 地震保険とのセット契約になっているか
災害は「いつか起きる」ではなく、「すでに起きている」現実です。契約者自身が補償の境界線を理解し、備えることが求められています。
関連記事:台風で冠水した道路を走行中に事故!『水没車両』と自動車 保険の意外な扱い
災害と保険の“境界線”をどう見極めるか
損害保険は「何でも補償してくれる」わけではありません。特約の有無、免責金額、事故の分類(自然災害か人的要因か)などによって、補償されるかどうかの境界線が存在します。
特に水災や地震などの自然災害では、以下のような誤解が多く見られます:
- 火災保険に入っていれば水災もカバーされると思っていた
- 車両保険で水没も補償されると思っていたが、エコノミー型だった
- 地震保険は火災保険に自動で付いていると思っていた
これらはすべて契約時の確認不足によるものです。災害が起きてからでは遅いため、事前の見直しが不可欠です。
契約者が今すぐ取るべき行動
今回の大雨をきっかけに、以下の行動をおすすめします:
- 火災保険・車両保険の契約内容を確認する
- 水災特約・地震保険の有無をチェックする
- 免責金額や補償範囲を見直す
- 災害時の証拠保全方法(写真・動画・診断書)を家族で共有する
- 保険会社に「災害時の対応マニュアル」を問い合わせておく
保険は「安心を買う」ものですが、その安心が本当に届くかどうかは契約内容次第です。
まとめ|“補償されると思っていた”を防ぐために
令和7年8月の大雨は、損害保険の補償範囲と契約者の理解のギャップを浮き彫りにしました。
筆者自身も、契約内容を見直す中で「水災特約が付いていないこと」に気づき、慌てて追加契約を行いました。災害は待ってくれません。
この記事を読んだ今こそ、あなた自身の保険契約を確認し、必要に応じて見直しを検討してみてください。