熊撃退の新常識！モンスターウルフとくまドンの違い・効果・導入事例を徹底解説 - 現役タクシー運転手の転職ガイド

近年、全国各地で熊による人的被害や農作物被害が急増しています。特にインバウンド観光地や山間部では、熊との遭遇リスクが高まり、自治体や民間企業がさまざまな対策を講じています。

そんな中、テレビやニュースで紹介され注目を集めているのが「モンスターウルフ」と「くまドン」という熊撃退装置です。どちらもユニークなアプローチで熊を遠ざけることに成功しており、導入事例も増えつつあります。

この記事では、それぞれの装置の特徴や効果、価格、導入事例を比較し、どのような場面で活用できるのかを深掘りしていきます。

この記事でわかること

モンスターウルフとは？赤い目と音で熊を威嚇するロボット

まずは「モンスターウルフ」について見ていきましょう。これは見た目がオオカミに似たロボットで、赤外線センサーによって熊などの野生動物を感知し、威嚇音と光で撃退する装置です。

開発元は北海道の企業で、当初は農作物被害を防ぐ目的で導入されましたが、現在では高速道路沿いやゴルフ場、住宅地の境界などにも設置されるようになっています。

モンスターウルフは、赤く光るLEDの目と90dB以上の威嚇音を発することで、熊やイノシシ、鹿などを遠ざけます。音声は50種類以上あり、動物が慣れないようにランダム再生されるのが特徴です。音声には人間の怒鳴り声、犬の鳴き声、銃声などが含まれており、熊の聴覚に強く訴える設計になっています。

山形市では、農地周辺に複数台設置した結果、熊の出没件数が前年比で約40％減少したという報告があります。また、北海道の登別市では、観光地周辺に設置することで観光客の安心感を高める効果も得られています。

一方で、設置場所によっては「音がうるさい」「見た目が怖い」といった住民の声もあり、設置には地域との調整が必要です。

次に紹介するのが「くまドン」。こちらは山梨県の自動車部品メーカーが開発した装置で、熊が警戒時に発する「うめき声」に近い低周波音（80〜120Hz）を断続的に発することで撃退します。

モンスターウルフが視覚と聴覚に訴えるのに対し、くまドンは「聴覚のみ」に特化した装置で、より静かで周囲への影響が少ないのが特徴です。

くまドンは、熊の生態に基づいた音響設計がされており、熊が「敵がいる」と認識するような音を断続的に流します。音の周波数帯は人間にはほとんど聞こえず、周囲の騒音にも紛れやすいため、住宅地や登山道などでも違和感なく設置できます。

また、ソーラーパネル付きで電源不要、設置も簡易である点が評価されています。重量も軽く、持ち運びも可能なため、季節や熊の出没状況に応じて移動させることもできます。

北海道の美瑛町では、くまドンを登山道の入り口に設置した結果、熊の足跡が激減したという報告があります。岡山県では農地周辺に設置し、イノシシにも一定の効果があったとされています。

一部の自治体では、モンスターウルフとくまドンを併用することで、視覚・聴覚の両面から熊対策を強化する試みも始まっています。

両者の価格帯や設置のしやすさ、維持コストについても比較してみましょう。

本体価格は約50万円〜。設置には電源が必要で、屋外用の防水対策も必要です。重量があるため、設置には複数人の作業が必要になる場合もあります。自治体によっては補助金制度がある場合もあり、導入コストを抑えることも可能です。

本体価格は約25万円〜。ソーラーパネル付きで電源不要、設置も簡易。維持コストも低めで、個人でも導入しやすいのが特徴です。軽量で持ち運び可能なため、山小屋やキャンプ場などでも活用されています。

最後に、どちらの装置がどのような場面に適しているかを整理してみましょう。

くまドンは設置が簡易で電源不要なため、山間部や登山道など電源が確保しづらい場所に向いています。静音性も高く、周囲の環境に配慮した設置が可能です。

モンスターウルフは視覚的インパクトが強く、広範囲に音を届けられるため、住宅地やゴルフ場など広い敷地に適しています。観光地での安心感向上にも寄与します。

最近では、両者を併用することで「音＋光＋生態理解」に基づいた総合的な熊対策を行う自治体も増えています。熊の学習能力を逆手に取り、複数の刺激を与えることで慣れを防ぐ工夫がされています。

熊撃退装置は年々進化しており、単なる「音で驚かす」から「熊の行動心理に基づいた撃退」へとシフトしています。モンスターウルフとくまドンはその代表例であり、地域や用途に応じて選ぶことで、より効果的な熊対策が可能になります。

今後も熊との共存を目指したいものです。