タクシー運転手の勤務形態は各タクシー会社により多少の違いがある。これを細かく解説しても実際にはあまり参考にならない。
タクシー運転手の勤務形態は大きく三つ(A勤=昼勤務、B勤=夜勤務、C勤=隔日勤務)に分かれる。こう考えておけば問題ありません。
この記事では、現役のタクシー乗務員である私から見た3勤務形態の実態とメリット・デメリットについて解説します。
また、2024年(令和6年)4月から施行された「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(厚生労働大臣告示)についても簡単に言及します。
タクシー運転手の仕事に興味ある人はこの記事内容を頭に入れておくといいでしょう。
A勤=昼勤務のメリットとデメリット
昼勤務(A勤)は概ね早朝から夕方までの勤務です。時間帯はタクシー会社各社によって出庫時間や入庫時間(=勤務開始や終了時間)が少しずつ異なります。
[4勤1休昼勤務のタクシー運転手の出勤と休日の例]
曜日 | 昼勤務状況 |
---|---|
月 | 出勤 |
火 | 出勤 |
水 | 出勤 |
木 | 出勤 |
金 | 休日 |
土 | 出勤 |
日 | 出勤 |
A勤=昼勤務のメリット
1)朝方人間の人には向いている。
2)早朝(5~7時)から出庫する場合は早朝出勤のお客さん(=長距離あり)や通常出勤時のお客さんを多く短時間で乗せられて稼げる。
3)夕方4時台から5時台に勤務終了となるので、夜は家族と一緒に晩御飯を食べたり家族との時間を過ごしやすい。
4)洗車の義務がないタクシー会社が多い。
A勤=昼勤務のデメリット
1)夜型人間の人には不向き。
2)朝のラッシュ時の交通渋滞や混雑に巻き込まれやすい。
3)朝の時間帯規制(右折禁止や一方通行)などに神経を使う。
4)運賃料金が2割増しとなる夜10時~朝5時までの夜間料金がなく相対的に収入は低いい。
B勤=夜勤務のメリットとデメリット
夜勤務(B勤)は概ね夕方5時以降から翌朝までの勤務です。これも時間帯はタクシー会社各社によって出庫時間や入庫時間(=勤務開始や終了時間)が少しずつ異なります。
[4勤1休の夜勤務のタクシー運転手の出勤と休日の例]
曜日 | 夜勤務状況 |
---|---|
月 | 出勤 |
火 | 出勤 |
水 | 出勤 |
木 | 出勤 |
金 | 休日 |
土 | 出勤 |
日 | 出勤 |
B勤=夜勤務のメリット
1)夜型人間の人には向いている。
2)2割増しとなる夜10時~朝5時の夜間運賃が適用され相対的に高収入となる。
3)深夜から朝方は比較的交通量が少ないので走行がスムーズになる。
4)長距離のお客さんが多いので比較的に営業回数が少なくても高運収となる。
B勤=夜勤務のデメリット
1)朝方人間に人には不向き。
2)夜間の勤務となるため家族との時間や通常の社会生活の両立が難しい。
3)深夜の酔客を乗せた場合にトラブルが発生しやすい。
4)昼夜逆転の生活となるので健康、特に自律神経を患いやすい。
C勤=隔日勤務のメリットとデメリット
隔日勤務(=C勤)は昼勤務(=A勤)と同じように朝出庫しますが、翌日の朝方まで勤務する勤務形態です。
明け方仕事が終わった日は終日休みとなり、あくる日の朝にまた出勤する形です。
[隔日勤務のタクシー運転手の出勤と休日の例]
曜日 | 隔日勤務状況 |
---|---|
月 | 出勤 |
火 | 休日 |
水 | 出勤 |
木 | 休日 |
金 | 出勤 |
土 | 休日 |
日 | 出勤 |
C勤=隔日勤務のメリット
1)長時間の車の運転を苦にならない人には向いている。
2)朝夕のラッシュ時の営業及び夜間料金適用となる夜の営業となるので昼勤務に比較すると高収入となる。
3)2日に一度は家族との時間を持てる。
C勤=隔日勤務のデメリット
1)長時間の車の運転が苦になる人には向かない。
2)長時間勤務(15~6時間程度)に耐えられない人には不向き。
3)道路の混雑や交通渋滞や時間規制などが発生しやすい朝夕のラッシュ時の対応が苦手な人には不向き。
4)隔日で睡眠時間帯が違うので自律神経系を患いやすい。
「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」について
これは2024年(令和6年)4月1日から施行された厚生労働大臣告示による改善基準です。
項目 | タクシー運転手への適用 |
---|---|
拘束時間の上限 | 1日16時間、1週間92時間を超えての勤務は禁止 |
運転時間の上限 | 1日9時間、1週間48時間を超えての運転は禁止 |
休憩時間 | 運転4時間ごとに30分以上の休憩が義務付けられる |
連続運転時間 | 4時間を超えて連続運転することは禁止 |
睡眠時間の確保 | 勤務開始前に一定の睡眠時間(7-8時間程度)を確保する必要がある |
宿泊施設の確保 | 長距離運送の際は適切な宿泊施設を確保する必要がある |
健康管理 | 定期的な健康診断の受診が義務付けられる |
教育の実施 | 疲労運転防止など適切な教育を受ける必要がある |
タクシー運転手の場合、長距離輸送はあまりないものの、拘束時間や運転時間の上限、休憩時間の確保、連続運転時間の制限などが大きな影響を受けると考えられます。
また、労働時間管理の徹底が求められ、シフトパターンの見直しなども必要になる可能性があります。
いずれにしろ、この法改正で各タクシー会社がただちに法令を遵守できるか、あるいはするかという問題があります。
この辺もタクシー会社によって大きく異なるというのが事実なので、これからタクシー運転手を目指す人はご自分が面接を受けるタクシー会社に直接質問などをしてみることです。
現役のタクシー乗務員の私の場合
これは参考の一例に過ぎませんが、私の場合はA勤=昼勤務です。
私が勤めるタクシー会社(福岡市の老舗)ではA勤さんとC勤さんには一応の出勤時間があります。これは朝8時です。
しかし、運転手さんの個人的な事情に合わせて時差出勤OKとなっています。運転手さん思いの会社です。
私は早起きが苦手なので時差出勤申請をして出勤時間は朝9時としました。出勤して車の清掃などに約30分を使い出庫はだいたい9:30~9:45の間です。
このタクシー会社では2時間毎に10分間以上の休憩を取ることが推奨されており、別に昼休みは1時間と決まっています。
もちろん、現実には実車の事情などで必ずしもその通りに休憩を取ることにはなりません。
会社に帰り入庫処理をするのがだいたい19:30前後。自動日報(乗務員カードを挿入すると実車状況がプリントされて機械から出てきます。)に基づいて清算処理をして会社を出るのが8時前。自宅まで歩いて3分なので8時過ぎには帰宅します。
自分に適した4日勤務して1日お休みの典型的なA勤パターンなのでストレスも疲れもありません。
これからタクシー運転手を目指す人には是非自分に合った勤務形態で仕事を選んでほしいものです。