こんにちは、現役ドライバー歴7年、70歳のヤヌスです。
連日のニュースで、ガソリン価格の高騰と、その対策として「ガソリン税に上乗せされている暫定税率の廃止（トリガー条項の発動）」が大きく議論されています。一般のドライバーはもちろん、私たちタクシードライバーにとっては、これは「稼ぎ」に直結する極めて重要なテーマです。
なぜなら、ガソリン代は会社にとってもドライバーにとっても大きな「経費」であり、その価格変動は会社の経営体力、そして歩合率にまで影響を及ぼすからです。
この記事では、トリガー条項が発動した場合、タクシードライバーの給与や働き方がどう変わるのか、そしてプロとして価格変動にどう備えるべきかを解説します。
この記事でわかること（ガソリン税の要点）：
- ・ガソリン税の「暫定税率（トリガー条項）」の仕組みと、廃止された場合の価格への影響。
- ・価格変動が、会社の燃料費、そしてドライバーの歩合率に与える間接的な影響。
- ・プロドライバーとして、ガソリン価格の変動リスクにどう備え、稼ぎを安定させるか。
1. ガソリン税の「暫定税率」とは？なぜ今、議論されるのか
ガソリン価格には、本来の「本則税率」に加えて、「暫定税率」が上乗せされています。この暫定税率の廃止が議論の的です。
1-1. トリガー条項の仕組みと価格への影響
暫定税率の廃止、つまり「トリガー条項の発動」は、ガソリンの平均価格が一定の基準（例：3ヶ月連続で160円/L超）を超えた場合に、暫定税率分の課税をやめる仕組みです。
- 価格への影響：暫定税率が廃止された場合、ガソリン価格は1リットルあたり約25.1円（税率分）下がると見込まれます。
- 議論の背景：税収の減少、復興財源への影響など、財源確保の問題から、政府・与党は発動に慎重な姿勢を取っています。
1-2. タクシー会社の燃料費（経費）への影響
法人タクシーの場合、燃料費は会社が負担する主要な経費です。価格が下がれば、会社の支出は大幅に減少します。
- 経費改善：価格が25円下がれば、会社のコスト負担が軽くなり、経営体力に余裕が生まれます。
- 売上とのバランス：燃料費が下がることで、**総売上に占める燃料費の割合が改善**し、結果的にドライバーの給与計算（歩合率）に間接的に良い影響を与える可能性があります。
関連記事：【個人タクシー向け】確定申告と税金対策の裏側｜現役が教える節税の鉄則と経費処理
2. ガソリン価格の変動が「ドライバーの稼ぎ」に与える影響
ガソリン価格は会社経費ですが、その変動はドライバーの「実質的な稼ぎ」に深く関わってきます。
2-1. リスク1：歩合率計算における「燃料費率」への影響
多くのタクシー会社では、ドライバーの給与計算（歩合率）の際に、会社の総売上から燃料費を含む「必要経費」を引いた額を基準とするケースがあります。
- 価格下落時：燃料費が下がれば、必要経費の総額が減り、歩合計算の基準となる金額が相対的に増えるため、ドライバーの給与が増加する可能性があります。
- 価格高騰時：逆に高騰すると、会社の負担が増え、歩合率の見直しや、その他の経費をドライバーに間接的に負担させる施策につながるリスクがあります。
2-2. リスク2：個人タクシーや自費給油の場合の「手取り額」
個人タクシーや、一部の会社で自己負担で給油する法人ドライバーにとっては、ガソリン価格は直接的な「経費」です。
- 手取りの増減：価格が25円下がれば、走行距離が長いほど純粋な手取り額が増えるため、非常に大きなメリットとなります。
2-3. 価格変動による「利用客の行動」の変化
ガソリン価格が下がると、一般市民の「車移動」への抵抗感が薄れ、タクシー以外の交通手段の利用が増える可能性も否定できません。
- 需要減のリスク：自家用車の利用が増えれば、タクシーへの需要が一時的に減少し、「稼ぎにくい状況」になる可能性もあります。
3. プロドライバーとして価格変動リスクに備える対策
価格の変動は政治と国際情勢に左右されますが、プロドライバーとして「変動に強い稼ぎ方」を構築することが重要です。
3-1. 会社選びの基準に「燃料費の負担体制」を加える
転職を考える際は、燃料費の変動をドライバーに転嫁しない体制が整っている会社を選びましょう。
- 完全会社負担の原則：燃料費は会社経費として全額会社が負担し、ドライバーの給与計算に悪影響を及ぼさないことを明確にしている会社を選ぶ。
- LPG/HV/EV車両の有無：燃費効率の高いLPG車、ハイブリッド車、EV車を積極的に導入している会社は、価格変動リスクに強く、将来性も高いと判断できます。
3-2. 燃費効率を意識した「プロの運転技術」
ガソリン価格の高騰・下落に関わらず、燃費効率の良い運転はプロドライバーの基本です。
- 急加速・急ブレーキの回避：滑らかな運転技術は、燃費向上だけでなく、事故リスクの低減や乗客の快適性向上にもつながります。
- アイドリングストップの徹底：待機時や停車時のアイドリングストップを徹底し、無駄な燃料消費を抑える。
💰 まとめ：価格変動は「会社選び」と「技術」で乗り越える
ガソリン税の暫定税率廃止の議論は、タクシードライバーにとって、**国の政策が直接自分の財布に影響する**ことを再認識する良い機会です。
価格が下がれば一時的なメリットはありますが、大切なのは、「価格変動に左右されない安定した稼ぎ方」を確立することです。
それは、燃料費リスクをしっかり吸収できる会社を選ぶこと、そして、燃費効率と安全性を両立させたプロの運転技術を磨き続けることに尽きるでしょう。
関連性の高いリスク管理記事
ガソリン価格の変動に強い稼ぎ方、会社の選び方、そして運転技術の向上に役立つ記事は、こちらも参考にしてください。
