私的・弁当箱考 第十回「弁当箱・年季の味わい」

2017.01.23

育てる道具

 

身体の型が付いて着慣れた服、

良く触れる部分が擦れて手指と馴染んだ道具が好きです。

 

古道具や中古のものも「誰が使っていたのか気持ち悪い」とはまったく思いません。

むしろ、どうしてこれは自分の手元にやってきたのかと

「この物が渡り歩いた物語」に想像を巡らし楽しむ性格です。

 

だから、人工的に作ったダメージ加工製品なんかは大嫌い。

てっとり早く使いこなしている風情を演出しようなんて浅はかな考えで、

そのもの自体に何の物語もないという軽薄さが鼻につくのです。

ほら、ウォッシュ加工したデニムの安っぽさなんか、誰でも一目でわかりますよね。

しかも2年もすると廃れる流行に沿ったダメージという情けなさ。

まともなデニムを着続ければ、ずっと長持ちするし、その人らしさも刻まれていくというのに。

 

 

 

日々の暮らしの物語を刻む弁当箱

 

弁当箱に対する考えも同じです。

 

うっかり付けた凹み、おかずの染み、あちこち擦れて表情の変わった部分。

それ全部「毎日の記録」と思うのです。

 

使わなくなった弁当箱を棚の奥に見つけて眺めてみる時

あんな嬉しいことがあった、あの時はしんどかった、元気でいるだろうか、申し訳なかった、

いろんな記憶をよみがえらせ「もの思い」をさせてくれる道具。

一食を運搬する道具が、いつか感情を揺さぶる思い出の小箱になる。

 

弁当の良さを研ぎすまして「粋の部分」を取り出すとしたら、

間違いなく、それになると思います。

 

 

 

柱の傷は一昨年の〜、という歌詞を分かるこどもって、今いるのかな。

持ち家でも、そんなことしない親ばかりなのかしら。

家の価値が下がるとか思うのかな。だとしたら寂しい。

 

次回更新は2月17日、

月イチ連載もあと2回、お題は「弁当箱は、なぜあるのか」です。

私的・弁当箱考 第七回「バイバイ・パッキン」

2016.10.17

そもそもこの連載は、パッキンがいかに無駄で

弁当箱の「盲腸」なのかをボヤいた私のFacebook投稿を

松本コンシェルジュに発見され、弁当箱にまつわる偏見ともいえる持論を

Oh! Bento Laboで連載しないかと誘われたからです。

 さぁ、はりきって参ります!

 

パッキンの機能は内部からの液体漏れ防止・外部からの汚染物質からの遮断が主で、

素材や調理・半調理品の一時保存が役割です。

では、弁当って「保存食品」のカテゴリーなんでしょうか?

 

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保存容器なら、話は分かる。

 

6時間程度、常温に置かれるとしても、蓋をされ、包まれ、外気からは遮断されている状態。

そこに「ラバー素材による完全密封」は、どれほど有効なのでしょう。

たいした意味はないかと。

 

そして、パッキンの嫌なところは「洗うのが大変」ということです。

成形されたラバー素材自体のくねくね、そしてそれをはめる溝の洗いにくさ。

さらに乾燥の分かりにくさと、翌日の溝のはめにくさ、

蓋をする時の「パッチンのところ壊れるかも」思ってしまうゴムの抵抗感・・・。

 

どうして「弁当に必要」と思えるのでしょうか。

それに使う時間も気持ちもまったく無駄だと思うのです。

 

液漏れ? それならもっと確かな容器があります。

腐食予防? どれだけ汚い環境でお弁当をつくられているんですか。

なのにパッキンのゴムが汚れても使う?  溝の残留菌は心配要らない?

 

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よーく洗うだけでくたびれるのに、はめ直すのなんてうんざり。

 

海外のプラスチック素材の保存容器でパッキンを見かけることはありません。

さらには蓋だけポリエチレンだから“チンするときは外せ”という馬鹿な素材構成のものもありません。

(全部ポリプロピレンで作られているのが当たり前、良心的な国産メーカーも、とっくにそうしています。)

ちゃんと成形技術の進化に合わせて、改良するのです。

 

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蓋が内側に入るという漏れを最小限にとどめるアイデア。

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パッキンなし。同一材質だから、扱いのミスを防げる。

 

「他所から与えられた条件におとなしく従い、一切の疑問を持たず、改善など思いつかない。」

そういう残念さ、理解できませんか?

弁当箱にパッキンは要らないのです。

 

しかし、ここまで普及するとは
日本パッキン推進協議会とか、そんな天下り組織でもあるんだろうか・・。

 

あー・・懸念だったパッキン問題を書けてスッキリしました!!!
次回からは、やさしいおじさんとして連載を継続したいと思います。

更新は11月19日。第八回「温かい弁当」へ続きます。